自分が作品の一部になる? 新しいタイプの観光スタイル
大好きなアニメの登場人物の一人になる
アニメや漫画、映画、小説などを見たり読んだりしたあとに、関連する土地を訪れるコンテンツ・ツーリズム。いわゆる「聖地巡礼」にあたるものですが、そこから派生したものに「ミステリーツアー」があります。
このツアーでは最初にちょっとしたストーリーを与えられます。関連する土地を訪れて作品の世界に没入し、ツアー終了後にはその物語が放映されるなどすることから、通常とは違う臨場感を味わうことができるのです。こういったツアーは今後も増加すると予測されており、その波及的効果に対して注目が集まっています。
さらなる深掘りが求められるミステリーツアー
現実と作品世界を行き来するこのツアーは、参加者に独自の魅力を感じさせるだけでなく、舞台となる土地の観光地としての発展、地域振興にも結びつきます。ツアーによってまだ有名でない土地を訪れて、その魅力を知った参加者が、ツアーとは別に現地を再訪する「リピーター効果」も期待されているのです。
この比較的新しいタイプのツアーが、どんな範囲に、どんな影響をもたらすのか、その可能性を探る研究も続けられています。参加者がブログに書いたツアーの記録を分析する、参加者とコンタクトをとってインタビュー調査を行う、観光地の行政と連絡をとってツアー効果をはかるなど、さまざまな方法で新しい観光づくり、地域振興の形を模索しているのです。
関係者全体がバランス良くメリットを享受
ツアーで扱う作品が海外でも広く知られていれば、インバウンド集客にもつながるでしょう。こうやって観光者層の幅を広げたり、地域自体の知名度を上げたりしていけば、活性化のプロセスを明らかにできます。
最も大切なのは、ツアー参加者にどんな体験を提供するかです。そのうえで、関係者全体にメリットが生まれるような形を作り出し、それによって多方面での好循環を生み出していくことができれば、観光のあり方にもう一つ、新たなスタイルを加えることができるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
広島大学 総合科学部 国際共創学科 准教授 張 慶在 先生
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先生への質問
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