まちづくりに一役、人にやさしいスマートフォン
スマートフォンの新しい使い方
スマートフォンは、通信や音楽、ゲームのための道具として使われていますが、福祉やまちづくりの分野でも役立っています。
一例を挙げると、耳が不自由な人に役立つ、スマートフォンのソフトが開発されています。例えば慣れない路線のバスに乗るとなると、自分の行きたい場所に近いバス停留所はどこなのか、どれが乗るべきバスなのか、あと何分ぐらいで目的地に到着するのか、わかりにくいものです。このような情報もスマートフォンなら容易に集められます。スマートフォンはGPS機能があるので、それを利用するのです。具体的には乗っているバスの情報を画面で教え、降りるバス停に近づいたらバイブレーションと、画面に出てくるポップアップメニューで知らせます。降りる手前になると、料金と到着時間を伝えます。
人の心のバリアは不安から
通常、バスの中で明確にわかる情報は運賃表や車内アナウンスですが、車内で運賃表が見える位置は限られています。耳の不自由な人はアナウンスも聴こえませんし、周りの人にたずねるのも簡単ではなく、不安がつのります。その結果、外出しづらくなるのです。いくら運賃を安くしても、バスの本数を増やしても効果はありません。バリアは音が聴こえない不安から生じますから、この不安を解消することです。そしてこうした取り組みを進めていくと、日本中どこに行っても、障がいのある人も、高齢者も、みんながバスに安心して乗れ、ひいてはまちの活性化にもつながります。
開発に必要な知識とは?
この研究には交通工学の専門知識が必要です。どの道を通ると一番早いのか、GPSとソフトで使用するデジタル道路がマッチングするかどうかなどを検証します。また、文字のサイズや色づかい、メッセージの量など、人間工学の専門知識をベースに、システム開発をします。この研究は最終的には、まちづくりにつながります。スマートフォンやソフトを売るためだけではなく、社会に貢献し、人間生活に役に立つかという広い視野で取り組むことが大切だと言えるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
広島大学 大学院国際協力研究科 教授 藤原 章正 先生
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交通工学先生への質問
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