人が自然に足を運び、学びたくなる「しかけ」をデザインする
「つい見たくなる」しかけ作り
街を歩いたり、美術館や博物館に行ったりすると、どんな風に景色や作品を見ているでしょうか。美術館や博物館では、作品が魅力的に見えるライトアップがされていたり、のぞき穴があったりすると、つい見てしまうことでしょう。
音や光、プロジェクションマッピングなどの演出によって自然に目を向けたくなるような「しかけ」を作ると、作品を知ってもらう機会を増やすことができます。来場者は知識欲が刺激されて、リピーターになるかもしれません。場合によっては、まず「つい美術館に入りたくなる」ようなしかけも必要となるでしょう。
街づくりや学びにも
街では今、スマホのアプリを使って目的地に行く人は多いでしょう。もし、飲食店などの店舗やベンチの位置、街の歴史といった情報が入ったマップや、ほかにも歩くのが楽しくなるようなしかけがあるマップがあれば、思いがけない店に出会えて寄り道するなど、街歩きを楽しむ人が増えるのではないでしょうか。その街に愛着がわいて、地域の人口減少を止められるかもしれません。
こうした人が興味をひくようなしかけは、「メディア」の一つです。人と社会に焦点をあてて、人と人、物と人の相互作用をメディアコミュニケーションととらえてデザインし、検証します。またこの手法は、街や文化施設などをいかに魅せるかを考えて、その価値を創造できます。
楽しく問題解決できる社会へ
これは、メディアリテラシーや情報教育にも当てはまります。例えばソーシャルメディアの書き込みがフェイクかどうかといった課題には、シリアスゲームなどのゲーム性をしかけとして取り入れることで、自ら自然に参加できるようになるでしょう。
教育も、しかけを考えるメディアデザインも、課題を発見して解決法を探るという点は同じです。課題解決のために情報や映像、SNSなどを活用して、自然に人が学びたくなる、行動したくなるしかけを作るのです。それができれば、楽しく学び、楽しく過ごせる社会になっていくはずです。
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先生情報 / 大学情報
広島大学 総合科学部 総合科学科 准教授 匹田 篤 先生
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