現代における宗教とジェンダー、家族のあり方を考える
宗教の信者は特殊?
日本には仏教やキリスト教、あるいは新宗教を含む多くの宗教団体(教団)があります。日本では、特定の宗教を信仰する人たちは特殊な印象をもたれることがあります。しかし、多くの悩みを抱えながら救いや生きる意味を求めること、また活動を通して多くの仲間を獲得することに喜びを見いだすことは、信仰する人でなくても大切に思うことでしょう。また宗教の信者の行動を規定するのは教義だけではなく、その宗教、教団特有に存在するさまざまな制度や規範です。これは校則だけでなく、数々の暗黙のルールに従うことを求められる学校生活とも共通するものがあります。
宗教とジェンダー
「檀家(だんか)」や「家の宗教」という言葉があるように、宗教と家族は伝統的に密接な関係にあります。家族には性別によって求められる役割=ジェンダーロールが色濃く見られ、現代になっても女性(母親)に課せられる役割が男性(父親)のそれよりも多い、という現実があります。こうした家族における男女の不平等は、宗教活動にも反映されています。例えば組織運営に不可欠なこまごまとした用事が女性に押し付けられて、反対に対外的な仕事や重要な意思決定には男性しか携わることができないなど、宗教の中でも女性が不利になることが少なくないのです。
宗教団体という社会
かつては親と子(家族)が同じ宗教を信じることは当然とされてきましたが、宗教のあり方が変わった現代では、宗教の親から子への継承のあり方も変わってきています。継承の仕方に悩む教団もあれば、子ども専門の担当者を置きスムーズな継承を図る教団もあります。「宗教2世」と呼ばれる人たちは、宗教を理由に自分の意思が尊重されない、制約の多い生活を送るといった子ども時代を経験しています。
宗教社会学という学問は、このように外からは見えにくい宗教団体を研究フィールドとしています。その活動や信者の思いに触れて、またその教団特有の制度や秩序、人々の関係性がいかに生まれて信者の行動や考えを規定するのかを考えるのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
龍谷大学 社会学部 総合社会学科 文化・メディア領域 ※2025年4月新設 教授 猪瀬 優理 先生
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