「言葉」に対する感性が、メディアと上手に付き合うカギ

「言葉」に対する感性が、メディアと上手に付き合うカギ

生活のほとんどがネットで完結する時代に

言うまでもありませんが、現在もっとも強いメディアはインターネットでしょう。毎日ニュースや天気予報をチェックし、わからないことは検索して解決するというのは、もはや常識です。ショッピングモールやケータイ小説、動画などの映像や音楽配信の発展により、生活だけでなく娯楽さえもインターネットのみで完結してしまう時代となりました。
こんなにも私たちの暮らしを便利にしてくれたインターネットですが、使い方によっては危険にもなるということを認識しておかなければなりません。

世論操作されないよう注意!

インターネットが台頭する前は、多くの人にとってのメディアとは、テレビや出版などのマスメディアを意味していました。ところが今は、ブログなどで誰もが情報を発信することができるようになりました。つまり、個人が発言できるメディアを持ってしまったため、マスメディアや一切の権力はたいしたことがないとする風潮が広がっていったのです。
私たちが注意しなければいけないのは、社会を意識的に無政府状態とみなして政治的に利用しようとする人の出現です。インターネットの影響や読書習慣の欠如により、日本人の言葉に対する感性が低下していますので、特に言語能力の高い人が世論を操作しやすい世の中になっていると言えます。

判断力を養うために読書は必須

誰かの意見に流されないためには、インターネットだけでなく、出版物やテレビなどあらゆるメディアにふれる機会を増やし、それぞれの特性や本質を見極める力をつけることが大切です。特に読書は、判断力や思考力を養うのに役立ちます。マンガだけではダメです。確かに歴史マンガなどは勉強になりますが、自分というものをしっかり作り上げるには、本を読み込む作業が欠かせません。新聞の解説記事を要約したりして文章力を向上させることも有効かもしれません。今一度、言葉に意識を向け、あらゆるメディアとうまくお付き合いしていきたいものです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

山形大学 学術研究院 基盤教育担当 教授 山本 陽史 先生

山形大学 学術研究院 基盤教育担当 教授 山本 陽史 先生

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理工学研究科

メッセージ

情報を伝達するための手段であるメディアは文字や絵が書かれた紙が中心の時代が長く続いたのですが、19世紀後半からは音声や映像を伝える映画フィルム・電波・レコードなどが大きな手段となり、最近はインターネットへと大きく変貌してきました。この急激な変化は人間が生みだしたのですが、人間自身が振り回されているのが現状です。メディア・リテラシー教育が今こそ必須なのです。

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山形大学は、東日本有数の総合大学であり、4つのキャンパスはネットワークで融合されています。社会のリーダーにふさわしい基本能力と幅広い教養を身につけるため、教養教育に力を入れています。大学運営の基本方針として、一つは、何よりも学生を大切にして、学生が主役となる大学創りをするということ、そしてもう一つは、教育、特に教養教育を充実させるという2点を掲げています。