いい人、頑張り屋ほど要注意! 早めの対処が肝心な「過剰対応」
病気ではないけれど?
一見、健康に見えて問題なさそうな人でも、実際には心理的な負担を抱えている人はたくさんいます。本人も気づかないうちに負担が大きくなると、うつ病などの精神疾患になり、ときには突然自殺してしまうこともあります。
そのような、心理的ストレスの要因となる一つが「過剰反応」です。これは病気ではなく、状態のことをいいます。まわりの期待に応える、よく思われようと頑張りすぎる、周囲に協調しようとして自分の考えを合わせるといった傾向があります。さらに、人から否定されているなどと心配したり、ネガティブに考えたりもします。まわりを気にし過ぎてしまい、我慢しているのです。
発見しにくい難しさ
これは日本人に比較的多く、頑張り屋で、成功していたり、人によく褒められたりする「いい子」だからこそ、本人やまわりも気づきにくいことが課題です。病院で診断されることもありません。精神疾患や自殺への移行を防ぐためにも、過剰反応の状態をチェックする仕組みづくりや、改善のためのプログラム開発が求められています。
例えば、自己評価の低さを調査するアンケートで過剰反応の傾向を確認できます。友人とペアで実施して、自己評価と相手への評価を答えてもらいます。「私はよく思われていないから、5点満点中2点くらいだろう」と思っていても、相手からの評価は4点だったなど、実際は高くなることはよくあります。すると、「そんなに心配することはなかったんだ」と気づけるのです。
子どもたちを救うために
実は、過剰反応は子どもたちにもよく見られます。親や先生からの期待に応えようとするからです。過剰反応の子はある日突然不登校になり、そのまま引きこもる子もいることがわかっています。今、中高生といった若年層の自殺者が増えていますが、過剰適応が要因のケースもあります。
まずは、教員や保護者、そして子どもたち自身も過剰適応という状態を知ることが大切です。早くから対応できれば、学校でも社会でも生きやすい人生を手にできるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。