相手に情報をうまく伝えるには? 世の中をよりよくするデザイン

相手に情報をうまく伝えるには? 世の中をよりよくするデザイン

世の中をよくするデザイン

デザインとは絵を描くだけでなく、世の中をよりよくするためのものづくりや情報発信全般を指します。中でも「情報デザイン」に対する需要が高まっています。これは、どういう言葉や手段で発信すれば的確に内容を届けられるか、適切に相手に意図を伝えるにはどの情報に焦点を当てて発信すればいいのかなどを、総合的に考える分野です。

情報の最適化

ただ情報を並べ立てても相手に意図が伝わらないので、情報デザインでは情報の最適化が重視されます。まず情報を整理整頓して発信方法を考えます。このとき効果的な手法が、持っている情報をすべて紙などに書いて可視化することです。頭の中の思考を一度すべてアウトプットすると、情報を客観的に認識できます。その中から情報同士のつながりを考えたり、大事な部分をピックアップしたりしていくうちに、伝えるべきことが明確になっていきます。

デザインで地域を活性化

例えば地域の魅力、という情報を発信して地域活性化につなげるとします。住民の話を聞いたり、町歩きをしたりして情報を収集して整理すると、最適なデザインが見えてきます。事例の一つが福岡県の「香椎宮(かしいぐう)」という神社のアートプロジェクトです。参加者は地域に根付いている情報を整理して、アートという形にデザインして発信しました。その一つが境内にあるシイの木の下に金属板を置いた作品です。木からどんぐりが落ちると音が鳴り、その場面に居合わせた人々はシイの木の存在に気づきます。シイは香椎という地名の由来であり、地域の歴史を語る上で欠かせない木です。このようにアートをきっかけに地域に興味を持ってもらう取り組みが続いています。
これに限らず、世の中をよくしていくためのデザインは全国各地にあります。インターネットの普及で誰もが発信者になれる現代では、デザインはデザイナーだけのものではありません。情報デザインに触れられる場の創出や、デザインを身近に感じられるような取り組みが試されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

西日本工業大学 デザイン学部 情報デザイン学科 准教授 浜地 孝史 先生

西日本工業大学 デザイン学部 情報デザイン学科 准教授 浜地 孝史 先生

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視覚伝達デザイン

メッセージ

「もっとこうなればいいのに」という思いはデザインのきっかけになります。社会にあるものはすべて誰かの手によって作られており、地図や電車の路線図などもデザインされたものです。どうしたらもっと見やすくなるのか、私だったらこうする、などの考えをぜひ持ってほしいです。デザインはデザイナーやクリエイターだけの世界ではありません。ぜひあなたにもデザインの考え方に触れて、より魅力的な社会を作っていく視点を養ってほしいです。不便さを解消するようなデザインを、一緒に考えてみませんか。

西日本工業大学に関心を持ったあなたは

1967年、「人を育て技術を拓く」をモットーに、苅田町に工学部を開設。機械工学・電気情報工学・土木工学分野の高度な専門技術を学びます。2016年には次世代のロボットや自動車の開発者を育てる知能制御コースを新設しました。また、北九州市の中心市街地にある小倉キャンパス[デザイン学部]には、建築学科と情報デザイン学科を設置。「工学」と「デザイン」を融合させた教育、研究を推進し、「知と地の創造拠点」を目指し、地域・行政・企業との連携で地域の課題解決に取り組み、社会のニーズに合ったエンジニアを育みます。