アルゼンチンと中国、地球の反対側にある国同士で強まる関係

アルゼンチンと中国とのつながり
南米大陸でブラジルに次いで二番目に大きな国土を持つアルゼンチンは、19世紀初頭にスペインから独立したのち、19世紀の終わりごろから主にイギリス向けに小麦や牛肉などを輸出し始め、急速に経済成長を遂げました。この時期には、イタリアやスペインをはじめとするヨーロッパ諸国やアラブ地域などから多くの移民が流入し、首都ブエノスアイレスで暮らすようになりました。
そのアルゼンチンでは、最近になって、中国との間で、貿易や移民などを通じたつながりが強まってきています。地球のほぼ裏側に位置する国との間で、どのような関係が築かれているのでしょうか。
主要貿易取引先の上位に食い込む中国
アルゼンチンと中国との間での貿易は、2001年12月に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟してから、徐々に拡大してきました。先にブラジルやチリが中国との間での貿易の方が盛んになっていましたが、アルゼンチンも中国に対し、大豆や大豆油、ベリー類、牛肉、それにレアメタルなどを多く輸出するようになっています。現在、アルゼンチンの主要貿易取引先のうち、中国は上位3カ国に食い込むまでになっています。従来の中心的な取引先だった欧米諸国から、貿易相手が中国にシフトしている傾向が見られます。
移民や国際交流によって深まるつながり
首都ブエノスアイレスの中心部では、日用雑貨や保存食材を主に扱う中国人移民による店が2000年代に入ってから増加しました。どの店も、現地の人々の間でよく使われている様子が見て取れます。中国という国やその文化に対する認識は、距離があまりにも遠すぎるからか、アルゼンチンの人々の間にはまだそれほど浸透していないようです。しかし、中国語を勉強するアルゼンチン人の増加や、中国がアルゼンチン人学生の留学を積極的に奨励しているなどの動きも見られます。
アルゼンチンという国は今、それまでの欧米中心の国際関係から脱却して、中国をはじめとするアジア各国との結びつきを強化していく岐路に立っていると言えます。
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