当世処世術、教えます

当世処世術、教えます

能力が高いだけでは1人前ではありません

当世の学生事情をのぞくと、自分の能力に磨きをかけようと躍起になる姿がやたら目につきます。もちろん、個人の能力を高めることはすばらしいことです。ただ、何のためにそうしているのかを自覚することが肝心です。よいところに就職するため、あるいはお金を稼ぐためなのでしょうか。しかし、そのどちらも実現できるかどうかは疑問です。なぜなら、今の世の中では、能力だけを見て人を評価することは少ないからです。
では、どうしたら社会から受け入れられ、また歓迎されるのでしょうか。
結論から言うと、他者に感謝されることを行動に移すことです。誰かが困っているときに、自分の能力を生かして手助けをする。自分がどうすればほかの人の役に立てるかを考え、行動することなのです。モノを買う場合、いかに性能が良い製品であっても、自分にとって意味を成さない、役に立たないものなら買いません。それと同じことです。

いつの世も思いやりが求められる

相手を理解するとともに、相手が自分の何を、どの程度、どういう形で必要としているかを知ることが大切です。サッカーにたとえるなら、ボールを持っている選手がパスを出したいと思っている所に、その意図を汲んで先に走り込むということでしょう。
中国の古典『論語』に登場する言葉の中にいくつかのキーワードがあります。「恕(じょ)」もそのひとつ。「思いやりの心」のことです。「子貢問ひて曰く、一言にして以て身を終ふるまで之を行う可きもの有りや。子曰く、それ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ」。一生守っていかなければならないことを一言で表すと何か、という子貢の問いに対して孔子が答える場面です。自分がしてほしくないことは、他人もしてほしくないことだからしてはいけません。反対に自分がしてほしいことは、相手も同じだから進んでしてあげなさいと教えています。良好な人間関係を構築するため、ひいては、互いに相手を思いやる豊かな社会を実現するために欠かすことができない考え方と言えるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

静岡大学 情報学部 行動情報学科 教授 大島 純 先生

静岡大学 情報学部 行動情報学科 教授 大島 純 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

学習科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「将来を考えているのか?」って大人はよく子どもを心配します。でも、私があなたの歳の頃に将来なんて見えなかったし、考える気もなかったです。自分がどういう人間なのか、そして社会の中でどう「大人」になっていくのか、考える楽しさを教えてくれたのは大学生活でした。社会を自分の目でしっかりとらえてみる。そのために、情報学というのは面白い視点の一つだと思います。

静岡大学に関心を持ったあなたは

静岡大学は、7学部を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学の理念は「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。
失敗を恐れず若々しいチャレンジ精神をもち、人の意見によく耳を傾け、それに学び、協調性豊かに自己主張ができる人の入学を期待します。