当世処世術、教えます
能力が高いだけでは1人前ではありません
当世の学生事情をのぞくと、自分の能力に磨きをかけようと躍起になる姿がやたら目につきます。もちろん、個人の能力を高めることはすばらしいことです。ただ、何のためにそうしているのかを自覚することが肝心です。よいところに就職するため、あるいはお金を稼ぐためなのでしょうか。しかし、そのどちらも実現できるかどうかは疑問です。なぜなら、今の世の中では、能力だけを見て人を評価することは少ないからです。
では、どうしたら社会から受け入れられ、また歓迎されるのでしょうか。
結論から言うと、他者に感謝されることを行動に移すことです。誰かが困っているときに、自分の能力を生かして手助けをする。自分がどうすればほかの人の役に立てるかを考え、行動することなのです。モノを買う場合、いかに性能が良い製品であっても、自分にとって意味を成さない、役に立たないものなら買いません。それと同じことです。
いつの世も思いやりが求められる
相手を理解するとともに、相手が自分の何を、どの程度、どういう形で必要としているかを知ることが大切です。サッカーにたとえるなら、ボールを持っている選手がパスを出したいと思っている所に、その意図を汲んで先に走り込むということでしょう。
中国の古典『論語』に登場する言葉の中にいくつかのキーワードがあります。「恕(じょ)」もそのひとつ。「思いやりの心」のことです。「子貢問ひて曰く、一言にして以て身を終ふるまで之を行う可きもの有りや。子曰く、それ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ」。一生守っていかなければならないことを一言で表すと何か、という子貢の問いに対して孔子が答える場面です。自分がしてほしくないことは、他人もしてほしくないことだからしてはいけません。反対に自分がしてほしいことは、相手も同じだから進んでしてあげなさいと教えています。良好な人間関係を構築するため、ひいては、互いに相手を思いやる豊かな社会を実現するために欠かすことができない考え方と言えるでしょう。
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