運動教育(体育)って何を教えるの?

運動教育(体育)って何を教えるの?

運動ができるようになるためには

これまでの学校体育(運動教育)では、「楽しい」ことが重視され目標とされてきました。そのため、できる子もできない子も、その時のできる範囲で楽しむにとどまっていました。
しかし、できる子はさらにできるように、またできない子もできるようになった方がうれしいはずです。「できるようになった」という経験は、子どもたちに自信を持たせ、その子の成長につながります。
それでは、どのようにしたら「できない子」もできるようになっていくのでしょうか。例えば、なかなか50m走のタイムが伸びない子の場合、その子が走る時に、10m毎にタイムを計測したり、走った後に残る足跡に、玉入れの玉を並べたりします。すると、どのあたりでスピードが落ちているのか、足跡が乱れているのかなどがわかってきます。そこで、その地点の腕の振り方、足の運び方、走るリズムなど、タイムの早い子とどう違うのか観察し、違いや弱点を発見し、その弱点が改善できるように練習していきます。見ている子どもたちは、スピードが落ち込むあたりで「腕振り~!」「顔上げて~!」など、応援と共にアドバイスをしていきます。このように、子ども同士が互いに観察し合い、教え合うことが大切で、運動技能の向上も図れます。

うまくなるだけが目標じゃない

このように、普段子どもたちが見逃していることを目に見える形にして示すことも、体育指導(運動教育)において重要なことです。また、できる子のどうしたらうまくできるようになったのかという成功体験を共有することも、ほかの子にとって大切なアドバイスになります。できる子も、できない子に教えることによって自分の理解も深まりますし、さらにうまくなるきっかけともなります。体育(運動教育)では、運動技能(できる)を高めることだけでなく、分析力や問題解決能力(考える・わかる)を身につけることも大切な目標です。体育(運動教育)も、算数や国語と同じく、独自のねらいを持ち、学校教育の中で重要な一科目として位置づけられているのです。

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京都橘大学 発達教育学部 児童教育学科 教授 口野 隆史 先生

京都橘大学 発達教育学部 児童教育学科 教授 口野 隆史 先生

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自分の行きたい大学に行き、自分の学びたいことが学べれば一番良いですね。でも、今の入試制度では、みんながそういう訳にもいきませんね。「あの大学で、あの勉強をしたい、でも今の自分の成績では無理か~」そう悩んでいる人もいるかもしれません。入試制度のことはありますが、大学入試は皆さんが自分のことを真剣に考える機会でもあります。自分のことをよく見つめ直してみてください。大学入試は人生の転換期の1つです。でも、大学入試ですべてが決まる訳ではありません。しっかり悩んで、でも悩みすぎないで。

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