運動能力は生まれつきのものか

運動能力は生まれつきのものか

運動能力は鍛えられるか

世の中には、運動の得意な人もあまり得意でない人もいます。この運動能力は持って生まれたもので、自分の力では変えようのないものでしょうか。人によって背の高さが違うように、運動能力(いわゆる運動神経)もその人の生まれつきの部分もあります。しかし、人が生まれてからの環境によって左右される部分も多くあります。

運動能力の基礎は何歳ぐらいまでにつくられる?

それでは運動能力を発達させる環境とは、いったいどのようなものでしょうか。意外かもしれませんが、人間は6歳ぐらいになるとほぼ大人と同じ運動ができるようになります(ただ、それは大人と同じような動きの形ができるだけで、大人と同様に、器用に、力強く、継続してと言うわけではありません)。このことから、小学校入学ぐらいまでにできるだけ体を動かす機会をつくり、多くの運動経験をしておくことが運動能力の発達を促すことになると言えそうです。そうすると、小学校入学までに何か専門的にスポーツをさせる必要があるかのように考えがちですが、必ずしもそうではありませんし、1つのスポーツだけというのはかえって良くない場合もあります。

遊びのなかで育つ運動能力

幼児の場合、例えば日本に伝わる伝統的な遊びをすることによって、十分に運動能力を発達させることもできます。例えば、鬼ごっこでは、走る能力や敏捷性、相手の動きを予測するような能力が向上します。竹馬では、バランス感覚や巧緻性(身体の動かし方の器用さ)を身につけることができますし、なわとびでは、跳躍力・持久力・リズム感というようなものが養われます。
異年齢同士で遊ぶことの多かった昔は、小さい子どもも、お兄さんやお姉さんの動きに見よう見まねで一生懸命ついていきました。これも運動能力の発達に役立ったことは言うまでもありません。いま問題になっている子どもの運動能力の低下には、体を使った外遊びの減少が関係しています。子どもの運動能力向上のためには、外で思い切り遊べる機会をたくさん設けてあげることが大切です。

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京都橘大学 発達教育学部 児童教育学科 教授 口野 隆史 先生

京都橘大学 発達教育学部 児童教育学科 教授 口野 隆史 先生

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