災害時に役立つロボット
阪神・淡路大震災後に生まれた研究分野
レスキューロボットは災害が起きたときに人命を救うための支援機器です。「ロボット」と聞くと人間型を思い浮かべる人も多いようですが、そうとは限りません。その用途に応じて、最も適した形態や機能が取られなければなりません。
レスキューロボットの歴史はまだ浅く、1995年に発生した「阪神・淡路大震災」をきっかけとして、全国の研究者たちが、「大規模災害のときに人命救助に役立つシステムを作りたい」と開発を始めたのです。「レスキューロボット」という言葉は、震災後に生まれたものです。
阪神・淡路大震災のときはほとんど誰も研究していなかったレスキューロボットですが、今は、世界中で研究開発が進められるようになりました。国内最大級のロボットの学術講演会「ROBOMEC(ロボメック)」や、世界的にメジャーな国際会議「ICRA」や「IROS」でも、多くの研究発表がなされるようになってきており、科学技術の発展にはめざましいものがあります。
レスキューロボットの使命
レスキューロボットの目的は、「救助を行う人の二次災害を防ぐ」「人間の力ではできないことをできるようにする」「迅速な救助を可能にする」の3つです。震災の余震で建物が崩れると、救助活動に当たっていた消防士や自衛隊員、警官などは被害を受けてしまいます。倒壊現場でロボットが瓦礫に入り、人間の代わりに救助活動を行えば、二次災害は防げるはずです。人間が入れないような瓦礫のすき間やガスが充満した空間でも、ロボットを入れることによって救助が可能になります。
阪神淡路大震災後、十数年を経て、災害現場に投入できるレスキューロボットがいくつか開発されてきています。2008年現在、まだ消防などに配備されてはいませんが、実際にロボットが災害現場で使われる日は、確実に近づいています。
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先生情報 / 大学情報
東北大学 大学院情報科学研究科 教授 田所 諭 先生
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