エコな未来社会を支える電力エネルギー技術
半導体生産の世界シェアは日本・韓国・台湾が上位
半導体は、電気を通しやすい金属などの「導体」と、電気を通さないゴムなどの「絶縁体」との中間の性質を持つ、“産業のコメ”とも呼ばれる重要な物質です。携帯電話やパソコンはもとより、世界中で数多くの電化製品に使われています。
ところが、それほど大切な物質なのに、生産国は日本・韓国・台湾に偏っています。なぜかと言うと、半導体の生産工程では、「電力」が決定的な役割を担っているからです。電力が安定供給されないと、企業は安心して半導体作りに取り組むことができません。雷が落ちて、瞬間的に数秒間停電しただけでも数億円という損害が出ます。そのため半導体の生産地は、電力が安定して供給されている国や地域に限られるのです。
自然エネルギーの問題点
日本は、電力供給が世界で最も安定している国です。日本では少しの停電でもニュースになりますが、これは停電しないことが普通だからです。このような国は世界でも極めて珍しいと言えます。しかし、今後はこの状況が変わる可能性があります。
地球温暖化を防ぐために、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの活用が考えられています。これらのエネルギーは、CO₂を出さない点では理想的ですが、両方とも天候に左右されます。電力を安定供給するためには、安定して電力を供給できる供給源が必要なのです。
安定かつエコな電力は原子力が担う
そのための確実なエネルギー源となるのが原子力です。東日本大震災では原子力発電所からの放射能漏れを起こし危機管理と原子炉設計に課題を残しました。しかし石油を燃やす火力発電では、ほぼ全量を輸入に頼る原油がいつまでも手に入る保証はありません。また、CO₂排出の問題もあります。CO₂を増やさず、現状レベルの電力を安定的に確保するには、原子力をメインとして、自然エネルギーを補助的に使うという考え方もあります。さらに、将来的には核融合発電により、より安定なエネルギーを確保することが期待されます。
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先生情報 / 大学情報
東京都市大学 理工学部 電気電子通信工学科 教授 岩尾 徹 先生
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