情報工学で「テーラーメイド医療」を実現する!
DNA配列の個人差を調べて治療を
医療では、同一の病気であっても、すべての人を全く同じ治療法で治すことは難しいです。なぜなら、遺伝子=DNAの配列はその人ごとに異なるため、適した治療法や薬の効果にばらつきがあるからです。そこで、一人ひとりに応じた方法で治療することにより、高い治癒率をめざす必要があります。その情報源となるのが遺伝子であり、それを設計図として作られている約2万種類のタンパク質です。
遺伝子と疾病の因果関係を調べる
遺伝子は4種類のDNAの文字(塩基)の配列で構成されています。塩基の配列がアミノ酸の合成を指示しますが、塩基の配列が変異するとアミノ酸が変化し、タンパク質の形と働きが変化するため、病気を引き起こします。これまで、患者さんから見つかった変異と、臨床データとすりあわせ、遺伝性の疾病を診断する方法が研究されてきました。しかし、変異と臨床データの間に一定の規則性はあっても、変異から疾患を正確に診断することはできていませんでした。正確な診断には、変異がどうやって疾患を引き起こすかという因果関係がつかめていなければならないのです。
因果関係をデータベースに反映
例えばネット通販でコーヒーを買うと、ほかの人の購入履歴などに基づいてクッキーの広告が表示されたりします。しかし、なかにはクッキーが嫌いな人もいます。現実では統計データだけでは説明できない結果が見られるのです。そこで、「コーヒーは苦く、クッキーは甘い。一緒に食べるとおいしいから同時に買う」など、人それぞれの因果関係をデータベースに反映させることで、より効果の高い広告を表示させることができます。
疾病についても同様です。遺伝子の変異がタンパク質の働きにどのような変化をもたらすかを実験的に明らかにし、遺伝子変異→タンパク質の働きの変化→疾病という因果関係を反映したデータベースを作れば、診断の精度を上げることができます。このようなデータベースが、一人ひとりに最適な治療を提供するテーラーメイド医療を実現すると期待されます。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
富山大学 工学部 工学科 知能情報工学コース 教授 田端 俊英 先生
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