伝統工芸の高い技術を、現代の生活に取り入れる

伝統工芸の高い技術を、現代の生活に取り入れる

伝統工芸を現代の生活に生かす

日本各地には、木工、漆工、金工、陶磁器といった伝統工芸品がたくさん残っています。地域の歴史とともに歩んできた伝統工芸品は、高度な職人の技術によって支えられ、日本のモノづくりの原点と言えます。しかし、伝統工芸の高い技術で作られた製品の中には、現代の生活とは必ずしもマッチしているとは言えないものも見受けられます。そこで、伝統工芸技術を生かしながら、より現代のライフスタイルに合った商品作りの取り組みが行われています。

伝統工芸技術と現代テクノロジーとの組み合わせ

現代のデジタル化時代、商業デザインの分野において、コンピュータをはじめとするデジタルツールは一般的な道具となっています。CG(コンピュータグラフィックス)技術で作成された画像や映像は、映画・CM・ゲームソフトなどでおなじみですが、製品をデザインするプロダクトデザインの現場においても、設計・製造のプロセスの中で3次元CAD/CAM(キャド/カム)といったコンピュータを用いた先端的なデジタルデザインツールが広く使われています。
伝統工芸分野でも、長年継承されてきた伝統工芸技術に現代の先端的なデジタル技術を取り入れ、双方の利点を生かした「新しいモノづくり」の試みがなされています。

日本のデザインを世界へ発信

積み重ねから生まれた高度な技術、手触りの感覚や質感にこだわった素材使い、簡素で美しい意匠、このような日本の工芸品の良さが近年見直されており、世界からも注目されています。しかしいくら良質な製品であっても、日々の暮らしと結びつかなければその価値は半減します。現代のライフスタイルを考慮し、人々のニーズに応えたモノづくりをしていく必要があるのです。受け継がれた「伝統技術」に現代の「デザイン」という感性を掛け合わせ、新しい価値を創造することで「進化した伝統工芸品」を生みだし、「日本のデザイン」として日本のみならず世界に向けて発信できるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

富山大学 芸術文化学部 芸術文化学科 デザイン工芸コース 講師 内藤 裕孝 先生

富山大学 芸術文化学部 芸術文化学科 デザイン工芸コース 講師 内藤 裕孝 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

デザイン学

メッセージ

日常生活で使っている家具や食器といった製品はデザイナーによって創り出されています。デザインというクリエイティブな仕事は幅広い知識や専門的な能力が求められますが、なにより大切なのは「思いやり」の気持ちが持てるかどうかだと思います。絵を描くのが上手く、手先が器用なだけでは良いデザイナーにはなれません。声にならない思いを感じ取り、人の気持ちを理解することで、相手が何を求めているかを想像できるのです。思いやりの気持ちからデザインはスタートします。

富山大学に関心を持ったあなたは

本学は東海・北陸の国立大学のなかで、学部数では名古屋大学に次ぐ2番目、学生定員数(学部)では名古屋大学、静岡大学に続く3番目の規模となる9学部20学科を擁する総合大学です。
また本学には国内47都道府県すべてからの入学者がいるなど、全国から学生が集まっています。
さらに本学は就職率ランキングでも高い順位を誇っています。
そして、東海・北陸の国立大学では唯一の芸術系である芸術文化学部を設置しています。