「倫理」的な判断ができる人になろう
今、判断する人が求められている
今、あちこちで倫理的判断ができる専門家が求められています。科学の進歩によって、例えば「原子力発電所を稼動し続けるのか、やめるのか?」「脳死状態の人から臓器を取り出して、臓器移植をしてもよいのか。このとき死とは何か?」というような、新しい問題が起こっています。しかし、このような問題は、科学的な知識だけがあっても判断することはできません。「やってよいことと、悪いこと」を決めるのは、「倫理」だからです。
倫理は哲学の応用
現実社会は、日々どんどん変わり、新しい課題をつきつけます。私たちは、それについて、その場その場で判断しなければなりません。哲学と倫理は、どう違うかという答えが、ここにあります。「哲学は純粋に理論を形作るものであり、倫理はそれを現実社会に応用して、そこで起こるさまざまな出来事を、判断するものである」、いささか大胆に言ってしまえば、こうなります。もちろん、倫理的判断が求められるのは、科学の分野だけではありません。粉飾決算をした会社は利益をごまかしたがために非難されます。そして「社会的に責任のある会社が、虚偽の振舞いをするのは、正義に反する」と判断されますが、この場合の正義とは、まさに「倫理」を指すのです。
これからの問題を判断するために
日本をはじめ、地球上の多くの国は、これまで「まず自分たちが豊かになろう」「自分の国を豊かにしよう」という考えで、進んできました。しかし今までのやり方では、地球環境はますます悪化しますし、テロや戦争もなくなりません。ギリシアの財政危機がヨーロッパ全土の問題となり、また中国・アジアの近代化・巨大化がほかの国々にも影響をもたらしています。このように地球上のすべての地域や国が密接に関わりあっている時代に、問題を判断するためには、自己や自国の利益や幸せだけを追求するのではなく、「他人の幸福は自分の幸福である」という「倫理」が必要なのです。
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