道路情報板の効果と渋滞を減らす試み
運転者は道路情報板を見られるか
高速道路には、図形や文字による道路情報板があふれています。特に、地図上に渋滞情報が描かれている図形情報板は、限られたスペースの中に情報がコンパクトにまとめられている点で高い評価を受けています。しかし、問題はこれを運転中に見なければならないという点です。研究によると、情報板が複雑になるほど内容が判読しにくくなってきており、行き先や経路が決まっているならばともかく、首都高速など複数の経路がある場合など、どの経路が理想的かを瞬時に判断するのは難しいのです。
渋滞情報の功罪
それでも渋滞情報を表示することで経路が分散するので、道路情報板は一定の効果をもたらすことが期待できます。一方、複雑な情報板では情報を見るために速度を落とす運転者がいる場合もあり、渋滞の遠因になっている可能性も示唆されています。また同じ目的地に向かう2本の経路があった場合、片方が渋滞しているという情報を流すと、大多数の運転者がもう片方の経路に向かい、そちらで渋滞を起こしてしまうケースも見られます。これは実際の渋滞情報が表示されるまでにタイムラグがあるために起こる現象で、これは道路情報板がもたらす弊害です。しかし、だからといって運転者の行動を予測し、どちらかに誘導するような情報を流すことはできません。
渋滞を減らす試み
圏央道や新東名高速が新設されるなど、高速道路のネットワーク化が進む中、各道路会社はドライビングシミュレーターなどを使った実験や検討会を行い、対策を練り始めています。また渋滞情報が表示されるカーナビも増えていますが、こちらは画面が小さいこともあり、さらなる情報内容の工夫が必要でしょう。一方、カーナビを使った別のアプローチとして、各メーカーが車両の動きのデータを集めて利用するサービスも始まっています。運転者から集めたデータを用いて交通状況を予測し、経路案内をする試みです。いかに渋滞が少なく、スムーズな走行ができるか、道路会社や自動車会社などが試行錯誤の取り組みを続けているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。