「VR酔い」を防ぐには? VR、ARをより快適に

「VR酔い」を防ぐには? VR、ARをより快適に

サイバーシックネス

ビデオゲームを長時間続けていると、乗り物酔いのような症状があらわれる場合があります。ゲームなどデジタル機器に特有のこうした不快感や症状は「サイバーシックネス」と呼ばれています。
その中でも、VR(バーチャルリアリティ=仮想現実)を使用した際の「VR酔い」は、人によってはかなり症状がひどいと言われています。これらの現象は、映像では加速度がかかって見えるのに、実際の体では感じていないというように、画面から得られる視覚情報と体が感知する「体性感覚」にずれが生じるために起こると考えられます。VRではHMD(ヘッドマウントディスプレイ)をかぶって視界を制限するために、感覚のずれがより強くなるのです。

まだわからない「酔い」の正体

VR酔いは、乗り物酔いと同様のメカニズムだと考えられています。例えば車に酔った時、エアコンで冷気を浴びたり、窓を開けて風を入れたりする人は多いでしょう。同じように、VR酔いになった際、ネッククーラーのような首を冷やす装置をつけると酔いが軽減する、という実験結果が出ています。
VR酔いを研究していくと、一般的な「酔い」の本質とは何なのか、という疑問に突き当たります。酔いは、生理学の分野でもまだ解明されていないことが多く、今後、生理学、医学、工学という分野の垣根を越えて、取り組むべき課題の一つと言えます。

VR、ARの普及に向かって

VR使用時の不快感や不便さは、ほかにもさまざまなものがあります。現在、スマートフォンについては使用感や不快感についての研究が相当進んでいますが、それに比べると使用者の多くないVRに関しては研究が遅れていると言えます。
今後は、VRやAR(拡張現実)を利用した技術やデバイスは、より私たちの生活に身近なものになっていくことが想定されます。VRやARを使用する際の不快感を軽減して、直感的に使えるようなインタフェースとしての操作性をめざすことが、さらに重要になっていくでしょう。

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龍谷大学 先端理工学部 電子情報通信課程 准教授 酒田 信親 先生

龍谷大学先端理工学部 電子情報通信課程 准教授酒田 信親 先生

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メッセージ

高校生のうちに、自分があまり興味のない分野も含めて、できるだけ幅広い分野をまんべんなく勉強しておいてください。大学からは、それぞれがめざす専門分野に特化した、「タコつぼ」のような狭い範囲での勉強・研究に取り組むことになりますが、その中で、他分野の知見が役に立つことがあります。得意ではなかった分野の知識でも、習っておいたことが必ず何かの気づきにつながります。今のうちだからこそ、幅広い視野と知識を身につけるよう、心がけてみてください。

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