人と一緒にジャムセッションしてくれるロボット
ジャムセッションでドラマーがいない、どうする?
バンドでジャムセッション(即興演奏)をしたいけれど、ドラマーがいない、そんな時どうしますか? コンピュータに音を出させるという方法がありますが、コンピュータはあらかじめプログラムした音しか出せないので即興演奏には向きません。そこで考えられたのが、人間と双方向的に動く人型ロボットです。このロボットは、ギターなど人間の演奏音に反応して、動きを変えます。決まったパターンだけでなく、偶然性もプログラムすれば、予期しない動きもしてくれます。このロボットにパーカッションを持たせれば、じゅうぶんにドラマーの代わりになります。
演奏音を入力してロボットの動きに変換する
コンピュータの音とのもうひとつの違いは、「動き」があることです。演奏者はほかの演奏者の音だけでなく、実は動きも見て演奏しているので、音だけでは演奏しづらいのです。
ロボットに動きを与える仕組みですが、まず、ギターの音を周波数解析して、音量、音程、コード、リズム、特殊奏法の5つのデータを抽出します。人型ロボットは関節などにモーターが組み込まれているので、5つのデータを、モーターを制御する指令電圧にして、それをロボットの動きに変換します。一方、人間はロボットの音や動きに合わせながら次のフレーズを決めます。この繰り返しで、双方向に刺激しあう即興演奏を行うのです。
モーションメディアがロボット普及のきっかけに
こうしたロボットが表現する動きは、「モーションメディア」と呼ばれています。動きには感情作用がありますが、それをさらに音楽に活用したのがこのロボットです。ロボットに音を入力して、動きを出力するという機構を使えば、例えば、ゲームの効果音にも使えるでしょう。
現在日本では、「ASIMO」のような人型ロボットや、実際に役立つ介護ロボットも研究されていますが、一般家庭への普及にはまだまだ時間がかかるでしょう。モーションメディアは、ロボットがごく近い将来に家庭へ普及するきっかけになるかもしれません。
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