将来の仕事を考える中で「自分」が見えてくる
大卒の約3割が3年以内に離職
大学に入って就職はまだまだ先の話と思っていても、2年生頃になるとキャリア教育が始まります。これは、将来社会に出て自立するためには何を準備すべきかを考える講義です。なぜ、そんなに早くから準備するのだろうと疑問に思う人もいるかもしれません。実は、学生にとって将来の方向性を決めるのは高いハードルです。せっかく会社に就職しても、大卒の3割もの人が3年以内に離職しています。長期間準備をしていながら、こんなことが起こってしまいます。このことから、キャリア選択がいかに難しいかを理解してもらえると思います。
就職活動で初めて「自分」の問題に向き合う
ただ、これは学生だけが悪いわけではありません。就職するとは、社会の中に自分の場所を見いだすことです。自分がどんな存在かを知らなければ、社会との関係はわかりません。ところが、保護者の擁護のもとで生活している学生にとっては、そのような問題意識はありません。就職活動を始める段階で、初めて自分とは何だろうと考え始めるのです。いきなりそのような問題を突きつけられても、学生は不安になるだけでしょう。そうは言っても、逃げるわけにはいかないので、20年近く生きてきた自分で社会と向き合うしかありません。
他人の話を聞くことで「自分」を認識する
自分の頭だけで「自分」を理解するのは難しいでしょう。「自分」は、他人の評価や他人との比較を通じて、初めて見えてきます。仕事をしている人は、普段からそういうことを行っていますが、学生は慣れていません。そこで、意識的に他人の意見を聞いて他人の見方を取り込むことが必要です。例えば、「キャリアとは何?」という問いに対しても、人によってさまざまな考え方があるはずです。それを知ることで、自分との違いがわかってきます。そこで初めて「自分」が理解でき、自分はこうありたいという姿が見えてくるのです。
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先生情報 / 大学情報
福山市立大学 教育学部 児童教育学科 准教授 高澤 健司 先生
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