プラズマ分解によって、ゴミが持続可能なエネルギーになる

プラズマ分解によって、ゴミが持続可能なエネルギーになる

いずれ化石燃料はなくなる

地球温暖化が進行し、できるだけ二酸化炭素を出さずにエネルギーを作る方法の必要性が叫ばれています。特に2011年の東日本大震災をきっかけとした原子力発電所の事故によって、一気にその重要性が高まりました。石油などの化石燃料はやがてなくなりますし、原子力発電に使われるウランも地中から掘り起こすものなので限りがあります。

ゴミを水素と炭素に分解する

そこで「サスティナブルエネルギー開発プロジェクト」という取り組みが行われています。「サスティナブル」とは「持続可能」という意味で、将来にわたって持続可能なエネルギーの活用に、社会をシフトさせるための研究が行われているのです。太陽光発電やバイオマスなどを専門とする研究者が連携して、再生可能なエネルギーや燃料電池の開発などに取り組んでいます。
中でも注目されているのが、家庭から出るゴミや廃油からエネルギーを生み出す研究です。ゴミや廃油などはプラズマによって、水素と炭素に分解することができます。これまでゴミなどは燃焼させて処理していましたが、これでは二酸化炭素を大気中に出すことになります。プラズマ分解すれば、二酸化炭素を出すことはありません。

持続可能なエネルギー源

分解して取り出した水素はエネルギーとなります。現在はハイブリッド自動車が普及していますが、将来的には水素を使った燃料電池車(水素自動車)に移行すると考えられています。ガソリンではなく水素を燃料として使うので、排気ガスは水蒸気だけとなり究極のクリーンエネルギーと言われています。また、自動車だけに限らず、燃料電池は生活のエネルギー源として活用できます。
将来的に「廃棄物分解型水素ステーション」を街の中に設置すれば、ゴミを捨てる場所であると同時に、エネルギーとなる水素を供給する場所にもなります。ゴミや廃油などを原料とするので、持続可能なエネルギー源になるとともに、増え続けるゴミ問題の解決にもなる一石二鳥の取り組みなのです。

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先生情報 / 大学情報

愛媛大学 工学部 工学科 社会基盤工学コース  教授(学部長) 森脇 亮 先生

愛媛大学 工学部 工学科 社会基盤工学コース 教授(学部長) 森脇 亮 先生

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都市環境工学

メッセージ

私は高校生の頃、環境問題を解決して世の役に立つ人になりたいとぼんやりと考えていました。現時点ではまだ解決というには程遠いけれども、それに関わる仕事に携わっていることには満足しています。自分が何をしたいかを常に意識していると、進学などでどんな道に進んだとしても、最終的には自分が興味を持っている分野にたどり着くと思います。
今は悩みが多い時期だと思いますが、たくさんの可能性のある今の時期だからこそ、あなた自身の興味のある分野について、真剣に考えてみてください。

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愛媛大学は、「学生中心の大学」の実現をめざして、学生の視点に立った改革を進めています。そして、すべての学生が入学から卒業までの過程で、自立した個人として人生を生きていくのに必要な能力を習得することをめざしています。そのため本学では、正課教育のほか、正課外のサークル活動(正課外活動)やボランティア活動、留学、下級生への学習支援(準正課教育)等を通じ、その能力を磨くための多くの機会を設けています。あなたの可能性が広がる学び舎、それが愛媛大学です。