環境中の放射線量を計測し、危機管理に備える

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原発事故後のセシウム137はどう変化していく?

日本では、2011年3月の東日本大震災によって、福島第一原子力発電所の大きな事故が起きてしまいました。その事故によって、原発施設の外に放出・拡散された放射性核種が、どのように移行(変化)していくのか、正確な動態はわかっていません。そのため現在、放射性物質がどのように環境の中で移行していくかという調査が、放射線の研究者によって進められています。主に計測の対象とされているのは「セシウム137」という核種で、放射能がはじめの半分になるのに要する時間(半減期)は、およそ30年とされています。

都市部か、農村部かでも、プロセスや速度は異なる

放射性核種がどのように移行するのかは、「アスファルトの多い都市部」と、「裸地が多い農村部」では異なると予測されています。さらに、気象条件や土壌の質が砂利か、砂か、粘土かなど、どんな状態なのかによっても、移行プロセスやその速度が異なるとされています。原発事故による放射線の影響は非常に広範囲にわたることと、半減期が長いことで、それぞれの地域での長期的なデータの蓄積と研究の進展が待たれます。

原発建設予定地周辺では、天然放射性核種の計測も

東南アジアでは、原子力発電所の建設が予定されている国があり、万が一事故が起こったときのために、日本で培った放射線核種の計測技術や移行プロセスのデータ活用が有用です。原子力発電所の建設が予定されているベトナムやタイでは、日本人研究者による協力のもと、もともと自然界に存在する、さまざまな天然放射性核種の計測が進められています。計測方法は日本と同じですが、ベトナムやタイの土壌は日本とは違い、天然放射性核種の存在比もかなり異なっていることがわかっています。危機管理の観点から、事前に天然放射性核種の量を測定しておくことや、移行プロセスについてデータを蓄積することが重要になるのです。

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東京都立大学 健康福祉学部 放射線学科 教授 井上 一雅 先生

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放射線計測学

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放射線医学(核医学)の世界では、物理や化学(薬品)、生物(人体)、数学(画像処理)など、とても多くの分野の学問が必要になります。理系科目は、なるべく苦手意識を持たず、できるだけ広く勉強しておいてください。
また医学の世界は国際化しているので、論文を書いたり読んだりするのに、英語力が不可欠です。卒業生の中には、留学したり、国際機関で働いたり、外資系企業で活躍している人も大勢います。高校生のうちから、ぜひ英語力を磨いておいてください!

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