ファッションと心理の関係とは? ~「色」に秘められた力~
ファッションが与える心理への影響
もし気に入らない服装のまま出かけたら、周囲の人は気にしていなくても自分が落ち着かなかったり、不快な思いで1日を過ごすことになるかもしれません。また、スカートやパンツなどの着装アイテムによっても、人間は歩き方や仕草などの行動も違ってきます。スーツの時は気持ちが引き締まり、ジーンズでは開放的になったりします。このように生活では、ファッションが心理や行動に与える影響、「被服心理」も重要です。「ファッション」と聞くとデザインを思い浮かべる人も多いでしょう。もちろん、デザインも大切ですが、「いかに着やすくて、自分を美しく魅せることができるか」という視点が人々の関心も高いのです。
デザインより「色」が印象を残す
また「色彩心理」もファッションと密接に関わっています。人の印象に強く残るのは、これまでの研究から実はデザインよりも色合いです。赤などの派手な色の服は、デザインや着用者の顔の印象よりも、「積極的な人なのだろう」という印象のほうが強く残ります。逆に、清楚で控えめな色の服では、その人の顔の印象が残りやすくなります。
つまり、「オレンジは元気」「紫は妖艶」など、カラーによって与えるイメージや印象も異なるので、服の色によって「積極的な人」「優しい人」といった、相手にこう見られたいという自分の印象を操作・演出することもできるのです。
ファッションにもユニバーサルデザインを
もちろん、服は動きやすさや着やすさが重要なので、人間工学をもとに可動域、ゆとり量なども考えて作られます。さらに、誰にでも優しいユニバーサルデザインのためには、着る人にとって何が必要なのかも大切な視点です。例えば、高齢者が脱ぎ着しやすいファスナーやボタンの位置はどこか、男性の20名に1名の割合でいる色弱者に向けて衣服の色表示はどうあるべきかなど、まだまだこの分野を学ぶ人が考えなくてはいけない課題も多いのです。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 生活科学部 生活環境デザイン学科 教授 石原 久代 先生
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