がん治療を変える! 最先端のAI画像診断

がん治療を変える! 最先端のAI画像診断

痛みなく、より正確に

がんの治療では、手術や抗がん剤、放射線などさまざまな治療法の中から、がんのタイプに合わせて最適なものを選ばなければなりません。これまでがんのタイプを見極めるには、患者の体に針を刺して採取した細胞を顕微鏡で調べる検査が一般的でした。針を刺す方法は痛みを伴い、精度も70~80%程度です。また、がんの一部の細胞しか調べられないため、正確な性質を把握しきれないという課題がありました。しかし現在ではCTやMRIなどの画像をAIで分析する新しい診断法が登場し、痛みもなく90%という高精度で、がん全体の特徴を把握できるようになりました。

医用画像に隠された情報を読み解く

高性能コンピュータとAIの発展により、画像の診断方法が大きく変わろうとしています。これまではCTやMRIなどの画像から、がんの大きさや形を目で見て判断してきました。しかし、医用画像からは人の目では気づかないような、数百種類もの情報を読み取ることができます。がんの中にできる穴の大きさや数、周りの健康な組織との境目の形、画像の明るさの変化パターンなど、数値化して分析できる情報が豊富にあるのです。AIによって膨大な画像情報の解析がわずか数時間で可能になり、がんの性質をより正確に把握できる時代が始まっています。

AI画像診断の実用化とは

AI画像診断にはまだ課題もあります。AIの診断結果の精度は上がっているものの、その診断過程はブラックボックスのため、どのように導き出したのかがわからないままでは実際の診断には使いづらいのです。この課題が解決されれば、全国の病院にAI画像診断が広まり、がん治療の成功率が向上すると期待されています。
また、患者の画像データの蓄積と共有が進むことで、より正確な診断が可能になり、一人一人にカスタマイズされた治療法が選べるようになるでしょう。痛みを伴わないAI画像診断で、より多くのがん患者を救える時代が、すぐそこまで来ているのです。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 福岡医療技術学部 診療放射線学科 教授 亀澤 秀美 先生

帝京大学 福岡医療技術学部 診療放射線学科 教授 亀澤 秀美 先生

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放射線科学、医学物理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の研究は、数学や物理、情報処理を使って人の命を救う医療技術を作り出す、やりがいのある仕事です。数学や物理と聞くと、難しそうで身構えてしまうかもしれません。実は私も高校時代は物理が苦手でした。でも大学で放射線医療を学ぶうちに、物理の知識が治療に役立つことを知り、面白くなっていきました。私の座右の銘は「なんとかなる」です。夢に向かって頑張るときは、肩の力を抜いて「なんとかなる」と信じてください。プレッシャーをかけすぎず、気持ちを楽に持つことで進んでいけます。

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帝京大学 福岡キャンパスは有明海に面した雄大な自然と最新設備が揃ったキャンパスです。理学療法、作業療法、看護、診療放射線、医療技術(救急救命・臨床工学)の5学科を擁する福岡医療技術学部では、現代の高度な医療に欠かせない知識や技術に加え、患者さんや他職種のスタッフへの想像力やコミュニケーション能力といったチーム医療に必要とされる素養を高めながら、大牟田市という歴史ある土地で官民一体となり、各自治体と連携しながらさまざまな取り組みを実施していくことで医療のプロとして地域に貢献できる人材を育成します。