障がいを正しく理解して、ともに生きるために
障がいをプラス面からもとらえよう
小・中学校で、アイマスクを使って完全に視覚を遮る「視覚障がい体験学習」で「見えない」ことを体験すると、「かわいそう」「助けてあげたい」という同情につながることがあります。しかし、これは障がいを、ただ「マイナス」にとらえているだけの古い考え方です。
実際には、完全に見えない人は視覚障がいのある人のほんの一部で、少し見える人もいます。だからこそ、聴覚が研ぎ澄まされて、音楽家として活躍する人もいます。このように、障がいの程度や「プラス」面も含めて理解することが、新しい障がい理解のあり方です。
一人ひとりに合った接し方を
障がいを意識すれば手厚いサポートができるようにも思えますが、障がいにばかり目が向いてしまうと、年齢や性別など個人の個性や特徴が軽視されてしまいがちなので注意が必要です。
例えば、知的障がいがあり、実際の年齢よりも知的な発達度合いが遅れている場合にも、例えば16歳の学生であれば、16歳という年齢を尊重するべきです。障がいだけにとらわれるのではなく、1人の人間としての個性や尊厳を尊重する教育が求められているのです。
これからは教育も「ユニバーサルデザイン」で
障がいのある人が生活する上の不便を取り除く「バリアフリー」の考え方は、これまでに社会全体に普及してきました。教育現場でも、障がいのある子どもは通常教育のクラスと分かれて、専門のサポートを受けてきました。しかし、障がいのとらえ方が大きく変わりつつある今、社会も教育も「ユニバーサルデザイン」をめざすようになっています。ユニバーサルデザインとは、障がいの有無にかかわらず、誰もが利用できる社会や教育を作る考え方です。
小・中学校では、障がいの有無でクラス分けをせずに、ともに学ぶことで互いに良い影響があり、学力向上や心理面の成長が期待できます。障がいのある子どものニーズに応える特別支援教育は、今や教育全体の未来を担う分野とも言えるのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪教育大学 教育学部 教員養成課程 特別支援教育部門 教授 冨永 光昭 先生
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