日本の「アニメ」はアニメーションではない 日本アニメの特殊な事情
すべてはアニメから始まった
近年、アニメ、マンガ、ゲームなど、日本のサブカルチャーが世界的に注目を集めるようになりました。その中でも、いち早く海外で受け入れられたのはアニメでした。1970年代には『UFOロボ グレンダイザー』というアニメがフランスなどで国民的な人気を得たように、各国で日本のアニメを受け入れる下地があったため、近年になって日本文化のブームが訪れたと考えられています。では、日本のアニメはなぜ海外で人気を博したのでしょうか。
日本のアニメの特徴的な進化とは
日本のテレビアニメは、1963年の『鉄腕アトム』から始まりました。当時、「アニメーション」といえば、ディズニーのように、1秒間に24コマの動きをつける「フルアニメーション」が主流でした。しかし、日本でテレビアニメを作るにあたっては、予算も時間もなかったため、1秒間に8コマの「リミテッドアニメ」という手法が用いられました。
ディズニーのような、なめらかな動きができなかった日本のアニメは、動きではなくストーリーで見せる方向に進化しました。欧米のアニメーションが、子ども向けのものとして描写の制約が多いのに対して、日本のアニメは、さまざまな制約やルールを超えて、面白さを追求していくことになったのです。その結果、単純な勧善懲悪ではない重厚なストーリーが生まれ、バラエティに富んだ作品作りが実現し、そうした作品が、自国にない文化として海外で受け入れられたのです。
日本の好感度を上げた「アニメ」
「アニメーション」という言葉は、絵が動くように見える技法のことなので、映画やテレビなどのメディアにとらわれません。ノートの端に描くパラパラマンガも、アニメーションの一種です。ただ、独自の進化を遂げた日本の「アニメ」は、もはや本来の「アニメーション」という言葉とは別の存在になっています。
しかし、そうした日本のアニメが海外の文化に多大な影響を与え、世界の国から日本がよいイメージを持たれる要因の一つとなっていることは間違いありません。
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帝京大学 文学部 日本文化学科 准教授 康村 諒 先生
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