教育と臨床心理学の熱い関係
絵本のエキスを
心の中がどのようになっているのかは、目に見えるわけではありません。しかし子どもの心の躍動や悲しみは、そばにいるだけで感じ取ることができます。子どもと関わる仕事には、この「感じ取る力」が大切です。感じ取る力を育てる際に、絵本がとても効果的な場合があります。夜空を照らすお月様が黒い大きな雲に覆われてしまう『おつきさまこんばんは』という絵本があります。子どもたちに読み聞かせをすると、お月様が雲に隠れるところが一番盛り上がります。雲に隠されたお月様が、再び現れるだろうと信じることができることは、実は心の健常な働きなのです。ほかにも『いやだいやだ』という絵本も用います。フロイトの言う心の働きで「超自我」を感じ取るのに、もってこいの絵本です。
児童養護施設という器
児童養護施設には虐待が理由で親から離れ、入所している子どももたくさんいます。児童指導員が、生活を共にすることによって、成長を支えるだけではなく、心の発達にも携わります。また、心理士がカウンセリングを行って、子ども達の心の発達に専門的に関わります。人生早期に安定した人間関係の中で育つと、「基本的信頼感」という心の基盤ができます。愛着形成ともいいます。他者を信頼していない子どもは、時に攻撃的で、信頼を簡単に裏切ることもあります。そういった子どもたちを心理的に抱えることは、大人側にも痛みが走ります。それでも、子どものそばに居続けることはとても大切で尊いことです。
教育学部でも
臨床心理学の領域の学びは重要で、先に述べた「感じ取る力」は教員にも必須です。学生らは「子どもに寄り添う」「子どもとの信頼関係を築く」とよくいいます。ではどうすることが「寄り添う」ことになるのでしょう。「信頼関係」はどのように築いていくのでしょうか。教育相談や生徒指導の講義の中では、子どものリアルに触れ、具体的な技術と知識を身につけていきます。相手の話を丁寧に聴く、傾聴的態度のトレーニングや保護者や児童の悩みにどのように答えるのかを一緒に考えていきます。
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先生情報 / 大学情報
関西福祉科学大学 教育学部 教育学科 准教授 築地 典絵 先生
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