芸術と観光をリンクする! 日本を救う「アートマネジメント」
芸術文化と観光の架橋による地域再生
今の日本は、人や経済、芸術などが都市部に集中し、地方の高齢化や過疎化がより進むといった課題を抱えています。解決策のひとつとして、各地で演劇や芸術、美術、音楽といったアートによるプロジェクトが開催されています。ただ、単なる鑑賞イベントなど一過性のものでは意味がありません。地域のためのイベントである以上、そこに国内外の人が何度も足を運びたくなる仕掛けが不可欠です。文化芸術がその地の「観光資源」となり、地域の歴史や伝統に光を当てるなどして地域活性化を図る必要があります。
新しいアートマネジメント
このように「アートを地域社会と結びつけて観光化する」新しいスタイルのアートマネジメントの成功例として、兵庫県豊岡市の「豊岡演劇祭」が挙げられます。市内各地で開催される多彩な演劇によって国内外の実力派芸術家や目の肥えた観客が集まり、「演劇で注目される街」という自信を持った住民は、地域の魅力をSNSなどで発信し始めました。その結果、来場者が増え、経済効果は1億数千万円になりました。また、伝承が途絶えた農村神楽をリサーチし、現代風の演出を施して再現したり、大切にされている神社の歴史をストーリーとした演劇を境内で上演したりしています。これらは地域の人々の喜びや活力となってさらに地域発信を呼び起こし、新しい観光資源となりました。
地域創生や日本の未来のために
豊岡市では、芸術家がその地に一定期間滞在して活動を行う「アーティスト・イン・レジデンス」も行われています。こうした文化芸術活動を通じて地域の魅力を知ってもらうことで、移住者が増えるケースもあります。
近年、若者が減って高齢化が進み、地域活動を諦めているところも少なくありません。活性化には、行政の文化政策を含めて地域にスポットを当てることが必要です。新しいアイデアや発想で工夫しながら、地域のアイデンティティを醸成し、活性化を意図して芸術と観光をリンクさせることが、日本の未来を救うことにつながるはずです。
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先生情報 / 大学情報
芸術文化観光専門職大学 芸術文化・観光学部 芸術文化・観光学科 教授 藤野 一夫 先生
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文化政策学、アートマネジメント先生が目指すSDGs
先生への質問
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