世の中の常識を政治学で問い直す

政治をロジックとデータで再検討する
政治学はさまざまな問いを扱いますが、人々はどのように政治的な立場や意見を形成するのか、選挙ではどのように選択を行うのか、なども政治学者が答えようとする問いです。ロジックを追究する数理理論やデータを用いた統計分析は、その有力な研究手法といえます。自分が当たり前だと思っている常識や、世の中の共通認識は、厳密なロジックやデータ分析を通しても支持されるのか、客観的に検討することで、世界や社会に対する理解が改めて問われ、さまざまな点で学びがあります。
選挙に行かないことは「悪い」ことなのか
一般的に、投票参加は政治にとって「良い」ことだとされます。それでは、選挙に行かないことは「悪い」ことなのでしょうか。この疑問に答えるためには、「良い」「悪い」の意味を再検討する必要があります。もし「良い」という言葉が、自分の望む政策を政治に反映させる上で有効である、という意味なのであれば、政治について良く知らない人が棄権を選ぶのは、「良い」判断にもなり得ると解釈できます。自分よりも政治についてよく知っている人に判断を委託することで、自分にとっても利益がある人を選ぶことができるかもしれないからです。
日本で女性議員が増えないのはなぜか
日本では女性議員の割合が世界でも圧倒的に低いです。一方で世論調査をすると、女性の方が男性よりも議員として望ましいと感じている人が少なくない、ということが知られています。それにもかかわらず、なぜ女性議員の数は増えないのでしょうか。オンライン調査を用いた実験では、女性を議員として好ましいと思う人が多くても、同時に女性は選挙で勝てなさそうだと感じている人も多くいることが分かりました。自分の考えと、周りの人の考えや考えていそうなことへの認識にズレがある人が多いのです。このように、ある政治事象が生じるメカニズムを精緻化し、その1つ1つを客観的に検証していくことで、政治学の研究はこの世界や社会に対する理解を少しずつアップデートしていくのです。
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