薬局は「まちの保健室」 地域医療を支える薬剤師の新たな役割とは?
薬剤師の仕事は調剤だけじゃない
薬剤師の仕事には、対物業務と対人業務の2つの分野があります。対物業務は、処方箋の受け取りやそれに基づいた薬の調製と在庫管理、薬袋の作成、報酬算定、薬剤監査・交付などです。対人業務は、重複投薬、相互作用のチェック、副作用・服薬状況のチェック、在宅訪問での薬学管理、処方提案、残薬解消などがあります。
高齢化が進み、薬を服用している人が増えている中で、「薬を飲み忘れる」「用量を守らない」「余った古い薬を間違えて飲んでしまう」というケースは多く、薬を正しく使用するために丁寧な服薬指導の実践も、薬剤師の重要な仕事となります。
AI化により薬剤師の対人業務が中心になる時代
患者とのコミュニケーションを重視したアプローチに基づく、さまざまな健康管理のサポートは、薬剤師の新たな役割として注目すべき点です。今後、薬剤師の仕事は、対物業務を効率化し、対人業務への比重が高まっていくと予想されます。
その理由のひとつは、AI化・機械化が進むことで薬の調製と在庫管理などの業務負担が減ることにより、きめ細やかな、質の高い対人業務を行えるようになることです。また、高齢化が進む中で、在宅医療の充実が求められる現代において、薬剤師も地域包括ケアシステムの一員として、地域医療に貢献することが重要です。
予防医療にも貢献する薬剤師の役割
薬剤師は、患者や一般の人々に予防医学の重要性を伝え、健康促進の情報や教育を提供します。具体的には、生活習慣病の予防やワクチン接種の重要性など、広範なヘルスケア知識が求められます。また、血圧測定や血糖値のモニタリングなど、健康状態の評価に役立つ検査を実施し、必要な場合は医療機関への受診を勧めることもあります。さらに、多くの人が健康維持のためにサプリメントや健康食品を使用しているため、それに関する知識を習得することも重要です。
国民の健康寿命の延伸を目指す上で、薬剤師への期待は大きく、役割の増大が見込まれています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
横浜薬科大学 薬学部 准教授 鈴木 高弘 先生
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