怒りや不安など、「心の困りごと」を支援する心理学

来週のテストへの不安
「来週のテスト、不安だな」と感じている学生が、朝10分で不安の内容を紙に書き出します。翌日には、不安を感じている友人がいる想定でアドバイスを書き、3日目にはこれまでに書いたことを通じて気がついたことを書き出します。これは「認知行動療法」を用いて不安の感情を和らげるという研究事例で、実際に強い不安を抱えていた中学生の不安が軽減されて、数学のテストの点数が上がったとされています。不安という感情を言語化して、友人へのアドバイスで客観的な目線を持つことで、自分の今の状況が把握でき、解決に向けた計画を立てやすくなる効果もあります。
スポーツでの不安
野球のピッチャーが普通にボールを投げられなくなる、また演奏者が音楽を奏でる場面などでも、不安が原因で自分の思うような動きができなくなることがあります。「イップス」といわれるこの症状は、治療法や予防がまだ確立していませんが、認知行動療法からアプローチできる可能性があります。例えば野球のキャッチボールがうまくできない場合でも、指先の感覚のコントロールが効かないボウリングの球やサッカーボールは投げられるものです。そこで、ボールを少しずつ小さくして、不安が低い状態から段階的に克服するといった方法が考えられています。
摂食障害を予防せよ
「痩せたい」「体形が気になる」といったことから青年期・思春期の女性に起こりやすい摂食障害についても、予防の観点から研究が行われています。「痩せることは本当に自分にとって重要なのか」といった痩せることに対しての幻想についてグループで話し合うことで、摂食障害の引き金となる「自分の体のここが嫌い」といった要因が少し和らぎ、「自分の体を尊重できるようになった」といった効果が確認されました。摂食障害は、月経の問題や不妊など女性の体に大きく影響します。摂食障害の予防に関する心理的サポートは、将来的な女性の健康を守ることにもつながります。
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