スポーツ科学-生活の質を高め、健康な社会を作るためにできること
スポーツ科学者の仕事
人間の身体は運動という刺激を受けて様々な反応を起こしますが、変化の仕方や効果は人によって違います。スポーツ科学者の仕事は、測定機器を使って運動に伴う生体情報をデータとして収集・処理することにより、運動の効果を科学的に解明して、その結果をスポーツの現場に提供することです。例えば、年齢、性やトレーニングレベルなどによる運動効果の違いを研究することで、各々の属性と目的に応じた運動メニューが提案されています。トレーニングによるアスリートの身体機能の変化を明らかにすることで、トレーニングの有効性やリスクを評価し、適切なトレーニング法を導き出すことができます。
健康のためにより効果的な運動を提案
スポーツ科学の研究成果から社会に広まっている運動の一つが「ノルディックウォーキング」です。スキーのストックのような器具(ポール)を、身体を前に差し出すようにつきながら歩きます。研究の結果、同じスピード、時間で歩いても、ノルディックウォーキングの方が心拍数は高くなり、消費カロリーは2割から3割増しになることがわかりました。このような運動効果から、健康な人がより健康になるための有効性が発信され、愛好者が増えてきています。一方で足腰に少し不安のある人にも、ポールの使い方を変えることで同様の効果が得られるというデータも出ており、リハビリテーションなどへの活用も期待されています。
子どもたちの発育・発達への貢献
子どもたちの体力測定とアンケート調査を行い、両者のクロス集計を行った結果、様々なことがわかりました。例えば、外遊びの好きな子どもは総合的な体力が高いという結果が得られています。体力があって元気でいるためには積極的に身体を動かして遊ぶことが大切だ、という経験則がデータで裏付けられたのです。研究の成果は、保育園などの先生や保護者といった現場に提供されて、広く発信されています。未来の社会を担う子どもたちが健やかに育つために、スポーツ科学者が貢献できることはたくさんあるのです。
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先生情報 / 大学情報
静岡理工科大学 情報学部 情報デザイン学科 教授 富田 寿人 先生
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