筋トレをすると血圧はどう変化する? 運動生理学の研究

運動によって血圧はどうなる?
運動生理学は、運動により心臓や筋肉、血流、呼吸などにどんな変化がおきるかを調べて、その仕組みを解き明かす分野です。
例えば血圧は、運動をすると上がります。筋肉に多くの酸素を届けようとして、血液を送り出す心臓の収縮の力が高まるからです。けれども、ウォーキングなどの有酸素運動を習慣にすると、血圧は下がります。有酸素運動には、血管の中で血管を広げてやわらかくする物質が出るのを促したり、血管を緊張させる交感神経の働きを抑えたりする効果があるからです。
運動の習慣は、筋肉を鍛えたり、心臓や血管の機能を向上させたり代謝を上げたりと、さまざまな効果があります。このような変化を研究して、その知見を多くの人々の健康管理や病気の予防・改善に生かしたり、アスリートのパフォーマンス向上に役立てたりすることが、運動生理学の大きな目的です。
筋トレも血圧に効果アリ?
筋肉が鍛えられると血流や代謝がよくなるため、高血圧の予防・改善には、有酸素運動プラス筋力運動(筋トレ)がいいといわれています。筋トレは、糖尿病や認知症の予防にも効果的です。
とはいえ、筋トレと血圧の関係は、実はまだよくわかっていません。筋トレは強度ややりかたによって血圧の動きが変わるため、データがでそろっていないのです。強度の高い筋トレをすると、交感神経の働きなどにより血圧は上がります。これは一時的な変化ですが、この変化のデータを長期に蓄積して分析することで、将来高血圧になる可能性を判定できるのではないかという仮説もあります。どんな強度の筋トレを、どんな方法でやれば筋肉にも血圧にもよいかを知るためには、もっと多くの研究が必要です。
「隠れ高血圧」
血圧は家庭でも手軽に測れますが、常に変動しているため、本当の姿をとらえるのは困難です。病院や健康診断で測る血圧は正常であるにもかかわらず、本当は血圧が高い「隠れ高血圧」があるのです。最近では、中高生の隠れ高血圧も少なくないことがわかってきています。
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