優れた教育実践の方法を解明し、未来へとつなぐ
優れた先生の授業技術を解明する
優れた先生たちはどのように授業を展開しているのでしょうか。この点について、教師と子どもの会話に着目した研究が進められています。
私たちは普段、あまり意識することなく人と会話しています。しかしその会話は、無自覚に使われている様々な方法によって支えられています。授業もそうです。だとしたら、優れた授業をつくるために先生たちが用いている会話の方法を解明することによって、教職志望の学生や新任の先生の授業改善に役立てるにちがいありません。こうした、人々が無自覚に用いている方法を探究する学問を「エスノメソドロジー・会話分析」といいます。
会話のなかで子どもは学ぶ
例えば、「1+1は?」という質問に「2」とみんなが答えるように、誰もが知っていることやヒトコトで答えられる質問をすると子どもたちは「一斉発話」をします。少し難しい質問をすると答えたい子が「挙手」をします。このように先生たちは授業にメリハリをきかせています。
また、現代では子どもたちが議論のなかで自分の考え深めていく授業も求められていますが、ただ意見を聴くだけでは議論になりません。ある子の意見を受け止めて「……ってことだけど、これに対してどう?」といった質問を先生が投げかけることで、意見がぶつかり合い議論が深まります。今求められているアクティブラーニングの実践方法も、会話分析から見えてくるのです。
優れた教育実践から未来をつくる
ある小学校の先生は「誰もがありのまま受け入れられる」クラスをつくり、たがいに認め合う力や自己肯定感を育もうとしています。また、多様な子どもが集まる学校のなかで、話し合い、歩み寄りながら1つのことを決める力を育てようともしています。子どもの人格形成にとって大切な小学校教育だからこそ、このような教育実践が重要な意味をもちます。
こうした優れた教育実践の方法をエスノメソドロジー・会話分析によって解明できれば、未来の社会はよりよいものになるでしょう。子どもは未来の社会をつくる人だからです。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 教育学部 初等教育学科 初等教育コース 准教授 森 一平 先生
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