いじめを哲学する

いじめを哲学する

人はなぜいじめをするのか?

いじめは長く子どもの問題と考えられてきました。しかし、いじめが大人の間でも見られる以上、いじめは年齢・性別を問わず、すべての人にかかわる問題と言えます。とすると、「人間とは何か」という問いに長く取り組んできた哲学も、いじめ問題の解決に寄与できるはずです。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、人間を「ロゴスをもつ動物」「ポリスで生きる動物」と定義しました。ロゴスは言語や理性を意味し、ポリスは古代ギリシャの都市国家を意味するので、この定義によれば、人間は理性的で社会的な動物になります。そんな賢い動物が、なぜいじめのような非理性的で反社会的なことをするのでしょうか?

いじめをするのは人間だけか?

アリストテレスは人間を「動物」と定義しています。人間はすぐれた知性をもっていますが、しょせん動物にすぎないのです。実際、さまざまな動物の生態を観察してみると、人間にも当てはまる性質が見えてきます。動物行動学はこれについて多くの知見を与えてくれます。いじめを考えるうえで参考になるのは、動物の本質を「攻撃性」にみる動物行動学者のコンラート・ローレンツの研究です。いじめが「攻撃性」のひとつの表れだとすれば、攻撃としてのいじめは人間だけでなく、すべての動物に共通の現象と言えます。

なぜ社会でいじめが生まれるのか?

いじめは、家庭や学校、職場といった社会集団で起こります。したがって、社会を形成し維持する力を解明することで、いじめのメカニズムも見えてきます。文化人類学者のレヴィ・ストロースは、社会(文化)とは欲望を禁止する規則の体系だと考えました。人間相互の平和的共存を可能にするために、社会は人間に攻撃衝動の断念や抑制を求めます。それゆえ文明社会に生きる人間はつねに欲求不満だと精神分析学者のジークムント・フロイトは分析しました。社会生活で抑制されている「攻撃性」を反社会的な形で発散させるのが、いじめと言えるかもしれません。

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北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(札幌校) 教授 佐山 圭司 先生

北海道教育大学教育学部 教員養成課程(札幌校) 教授佐山 圭司 先生

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教育大学は教員一人当たりの学生数が一学年3~5名と少なく、学生と教員の距離がとても近いのが魅力です。さらに大学の規模が小さいわりに、さまざまな専門分野の教員が揃っているので、社会科であれば、法学、政治学、経済学、社会学、歴史学、倫理学など、複数の分野を横断的に学ぶことができます。未来の日本社会を担う子どもたちを育てる教員は、大変やりがいのある職業です。ぜひ多くの方が本学で学び、将来教員として活躍されることを願っています。

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