タスクベース型の語学教育は多様性尊重の入り口
なんのために外国語を学ぶのか
これからの時代、使える言語が英語と日本語だけではもったいないと言われます。言語を学ぶことは、お互いを理解し、多様性を尊重するためにも役立つのです。理解することでそれぞれの文化や言語を大切にし、差別やいじめをなくし、ひいては世界の平和につながるということが、外国語を学ぶ根底にはあります。
新しい「タスクベース」の外国語勉強法
タスクベースの外国語勉強法が日本の大学でも取り入れられています。これは総合的に言語能力やコミュニケーション能力、情報収集力や交渉力などが含まれた勉強法です。従来の「文法翻訳型勉強法」では読み書き能力を養うことには強いのですが、実際の外国人とのコミュニケーションや留学となると、学んだことが実践しづらいという課題がありました。
欧州評議会が提唱する「CEFR」という指標は、「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠」のことで、タスクベース型学習は、この理念に沿ったものです。自由に移動ができて仕事の制限もないEU域内で、共通の枠組みを作って交流を深めるために使われています。「○○ができるようになる」といったタスクを設けているのが特徴で、世界の各種検定試験のレベルとも対応しています。
グループで学ぶタスクベース型学習
タスクベース型でドイツ語を学ぶ実例があります。ほとんどの学生は、最初は英語しか知りません。少人数のグループワークでドイツ語の絵本などを使い、辞書を使わずに推測して何をあらわしているのかを話し合います。次に学生自身が元の資料を手本に自分の言葉で自分について表現、グループの仲間にドイツ語で発表し、質疑応答を経て、振り返り学習を行うといった方法です。お互いに助け合うことでグループでの学びが深まり、一人で学習するよりも、人との間で化学反応が起きることも体験できます。気がつくとドイツ語が話せるようになっているだけでなく、日本語やコミュニケーションのトレーニングにもなるのです。
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先生情報 / 大学情報
麗澤大学 外国語学部 外国語学科 教授 草本 晶 先生
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