小さなものの集合体が、まちをつくる

マーケットがまちを変える
「シビックプライド」とは、18世紀にイギリスで生まれた考え方です。まちへの誇りや愛着のことで、日本語の「郷土愛」よりも、「自分ごと」のイメージといえます。地域の暮らしを豊かにするためには、まちへの誇りを高めて担い手を増やす働きかけが必要です。かつて繁盛していた各地の商店街は、数十年にもわたって停滞し、空き店舗が増えていますが、こうした場所で定期的なマーケットを開催すると、まちが元気になっていくという研究結果があります。
小さなものの集合体が、大きな動きに
人口が減り、経済、社会、文化などが縮小していく地域において、大きな施設の設置を都市計画の柱にすることは、建設費だけではなく管理にもコストがかかるため、発想の転換が求められています。そんな中、地域に人が集まり、さまざまな交流が生まれるマーケットの定期的な開催が注目されるようになってきました。ただ単に買い物がしたいというイベントではなく、人と人とのほどよいつながりがそこにはあります。小さな出店者がたくさん集まっているマーケットの効果は、仮設と常設の違いはありますが、地域になじんだ小さなお店が点在している「まち」の姿にも似ています。近年、行政が運営者としてマーケットなどを開催するケースも増えてきました。都市そのものがマーケットから生まれたと考えられており、それは人々の生活と切り離せない要素でもあります。マーケットが日常に根づいているロンドンでは、その多くを自治体が管理・運営しています。
まちの魅力を再編集
マーケットを介して、まちが豊かになってくる事例が少しずつ増えてきました。実際に空き店舗が埋まってきていることが、それを証明しています。運営する側と出店者・消費者だけでなく、そこに大学などの研究者も関わり、データに裏づけられた研究が行われるようになってきました。こうしたまちづくりは、豊かさを目標にした「まちの魅力の再編集」ともいえる取り組みです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
