遠い宇宙の果ても、近くの月の裏側も、まだまだ謎だらけ

遠い宇宙の果ても、近くの月の裏側も、まだまだ謎だらけ

“宇宙の果て”は果てしなく遠い

今日、観測技術の発達により、はるか遠くの宇宙について調べることも可能になりました。“宇宙の果て”はどうなっているのかというのは天文学者ならずとも気になるところでしょう。現在、人類が知ることのできる範囲は地球から470億光年先のところまでです。光速で進んで470億年もかかる距離ですから、じゅうぶん遠いところではあります。ただ、その先がどうなっているのかは今のところわかっていません。そもそも宇宙は“外側”と“内側”というとらえ方のできるものでもありません。
また、宇宙誕生の瞬間にはビックバンが起こったというのは多くの人が知っていますが、「それ以前はどうであったのか」と聞かれれば、「今とは違う状態であった」としか答えようがないのです。

今、月が再ブーム

天文学者が追いかけているのは、想像もつかないような遠くの宇宙ばかりではありません。地球に最も近い天体、月の研究も進められています。
アポロ11号に乗って人類が月に降り立ったのは1969年のこと。かつて夢物語と考えられていた月の世界がぐっと身近に感じられた瞬間でした。時を経て21世紀、再び月が注目されるようになったのです。
現在、「かぐや」を始め、いくつもの探査機を送り込んで調査を進めているのは、アポロ11号で採ってきたデータでは足りない部分を補うためです。アポロ11号も当然、月面のサンプルを採集するなどいくつもデータを取って来たわけですが、当時は通信上の事情で地球から見える面だけしか調査していませんでした。
そこで、今回新たに反対側の面についての調査を行うことになったのです。また、「かぐや」には搭載されていませんでしたが、地震計ならぬ月震計で月の両面での振動の伝わり方を調べることで、月の内部構造まで調べようという試みもあります。内部構造を調べることで月の起源、ひいては月と同時にできた地球の起源にせまることができるでしょう。

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東京科学大学 理工学系(旧・東京工業大学) 理学院 地球惑星科学系 教授 中本 泰史 先生

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惑星地球学

メッセージ

大学で惑星科学の勉強をしたいと思ったら、高校生の間は、数学から物理学化学、地学、生物学と、幅広く興味を持って勉強することをお薦めします。惑星科学では、どんなものの見方も役に立ちます。しかし、全部の科目をまんべんなく勉強するのはしんどいですよね。そういう場合は、一部だけでもいいです。得意技を身につけましょう。その得意分野から惑星科学の勉強に入り、大学で幅を広げていけばよいでしょう。がんばってください。

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