70年代から本格化した日本語教育-今はポップカルチャーと両輪で

70年代から本格化した日本語教育-今はポップカルチャーと両輪で

特殊目的の日本語教育という分野

特殊目的の日本語教育という分野があります。例えば、外交官、客室乗務員やビジネスパーソン、MBAや工学、医学分野の大学院生、また、限られた専門分野の研究者などは、一般的な日本語学習というより、経済新聞や日本語の専門誌が読めなければならないとか、財政投融資について研究しているので専門書が読めなければならないとか、特殊な目的で日本語を習得しなければならない立場にあります。Japanese for a specific purposeと名づけられていますが、この目的別/専門別日本語教育は、そんな人々のためにある日本語教育分野です。学習者もさまざまで、学習者によって日本語を要求される場面も違います。学習する日本語の文章構造自体が独特だったり、専門用語が多く出てきたりします。また、敬語がそれほど必要でないグループ、あるいは反対に敬語の習得が必須のグループなど、細かい違いがいろいろとあります。「ビジネス英語」ならぬ「ビジネス日本語」もその一つです。とにかく、教える側に社会・文化一般の幅広い知識が必要となってくる分野です。
国際交流基金での日本語教師養成講座が始まったのは1970年代前半でした。その頃、大学の日本語教師養成課程は、数えるほどしか存在していませんでした。それから約40年、日本語学習者も劇的に増え日本語教育を取り巻く環境、とりわけ学ぶ側の姿勢は変わりました。

日本語習得は漫画を読むため?

現在の留学生の様子を見ると、日本語を学ぶ動機が昔と明らかに違います。日本のポップカルチャー(サブカルチャー)の輸出が日本語自体に比べて急激に進んでいるというのが大きく影響しています。そのため、アニメを日本語で見たい、聞き取りたい、理解したい、漫画を日本語で読みたいという人が多いのです。女性の一部には、ファッションに憧れて日本に興味を持ったという人もいますが、数的には少なく、圧倒的に漫画が目的という学生が多いのも事実です。

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先生情報 / 大学情報

国際教養大学 国際教養学部 日本語教育 教授 佐野 ひろみ 先生

国際教養大学 国際教養学部 日本語教育 教授 佐野 ひろみ 先生

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応用言語学/日本語教育/第二言語学習

メッセージ

目先の受験にとらわれるのではなく、地球規模で、さらに宇宙規模で、換言すればユニバーサルな視点で物事を考えてほしいと思います。
母国語以外の第二言語習得をめざしているあなたには、“Good Learner”(よい学習者)の学習ストラテジー(戦略)、つまり自律的な学習ノウハウを身につけてほしいと思います。自分で自分に合った方法を探しだして、覚えて使って、そして楽しむ。その上でいろいろな体験を重ねてほしいと思います。

国際教養大学に関心を持ったあなたは

国際教養大学の挑戦―それは、従来の日本の大学では実現が難しかった課題に向けて「国際教養」という新しい理念を掲げ、その特色を最大限に生かし、グローバル化が進む国際社会を舞台に存分に活躍できる優れた人材を養成することです。本学では斬新な教育プログラムに可能性を見い出した個性的な学生たちが、全国各地から集まっています。「ありきたりの大学生活では物足りない!」と考えているみなさん、「壮大な夢を抱く仲間たちとともに輝いてみたい!」と願うみなさんは、ぜひ一度本学を訪れてください。