自然エネルギーの世界を考える

自然エネルギーの世界を考える

エネルギーはどこからくるのか

私たちが日々の生活の中で使っているエネルギーは、電気や都市ガスが主なものです。これらは2次エネルギーと呼ばれ、1次エネルギーを加工して使いやすくしてあるエネルギーです。1次エネルギーは、石油や石炭、天然ガス、太陽光、風力などで、自然から直接採取することができるものです。人間は、1次エネルギーを燃焼させたり、電気を起こしたりといったさまざまなエネルギー変換技術を発明し、1次エネルギーから2次エネルギーを生み出してきたのです。

太陽が生み出すエネルギー

それでは1次エネルギーはどうやってできるのでしょうか。その大部分は太陽によってできています。太陽から地球に到達したエネルギーのうち、約30%は大気や雲や地球表面に反射され、宇宙に戻ります。残りの70%が大気や雲や地球表面に吸収され、さまざまなエネルギーを生み出すのです。
例えば、石油や石炭、天然ガスなどは、地球ができたころから徐々に地球の内部に形成されたものですが、これらは太陽からの長期にわたるエネルギーが作り上げたものとも言えます。また、風や水の流れ、地熱、波など、地球の自然現象が生み出すエネルギーも、太陽エネルギーが形を変えたものなのです。

自然エネルギーとは何か?

石油や石炭、天然ガスなどを化石燃料といい、太陽光、風力、水力、地熱、波力などを自然エネルギー、または再生可能エネルギーと呼んでいます。両者には大きな違いがあります。それは、化石燃料が太陽エネルギーを長期間吸収した“密(みつ)なエネルギー”なのに対し、自然エネルギーは瞬間的に発生したものであるため“疎(そ)なエネルギー”なのです。したがって、密なエネルギーである化石燃料は、2次エネルギーに効率よく加工できるのに対し、疎なエネルギーである自然エネルギーは、2次エネルギーに加工するときの効率が悪いのです。
しかし、化石燃料が底をつくのは時間の問題です。現在、自然エネルギーを効率よく2次エネルギーに変換する技術の開発が進められています。

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先生情報 / 大学情報

東京大学 先端科学技術研究センター  准教授 飯田 誠 先生

東京大学 先端科学技術研究センター 准教授 飯田 誠 先生

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地球科学、環境学、エネルギー工学

メッセージ

私は子どものころに「科学者になりたい」という“夢”をもちました。そして今、科学者として地球温暖化問題に向き合い、風力発電に取り組んでいます。私は“夢”というのは具体的に、そして強く願えばかなうものだと思うのです。あなたも、ぜひ、“夢”をもってください。
とかく地球温暖化問題は暗いネガティブなイメージが強いですが、強迫観念に従っていては、長続きしないと思います。例えば新エネルギー技術は、まだまだ可能性ある技術です。“夢”のある環境エネルギー社会も、きっと実現できると思います。

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東京大学は、学界の代表的権威を集めた教授陣、多彩をきわめる学部・学科等組織、充実した諸施設、世界的業績などを誇っています。10学部、15の大学院研究科等、11の附置研究所、10の全学センター等で構成されています。「自ら原理に立ち戻って考える力」、「忍耐強く考え続ける力」、「自ら新しい発想を生み出す力」の3つの基礎力を鍛え、「知のプロフェッショナル」が育つ場でありたいと決意しています。