地球温暖化問題にどう向き合うか
「成長の限界」 は、必ずやってくる
多くの人が、「地球温暖化」による危機を意識するようになってきました。このきっかけのうちの一つをつくったのが、1970年にスイスで設立された「ローマクラブ」という民間の研究機関です。最初の会合をローマで開いたことから、この名称がつきました。メンバーは世界各国の科学者、経済学者、教育者たちです。
ローマクラブは、人口、資本、食糧、天然資源、汚染の5つのレベルの間の因果関係を抜き出し、地球の未来をシミュレーションしました。その結果、得られたモデルが「成長の限界」、つまり、どんなに指標を変えても、近い将来必ず成長の頂点がやってきて、そのあとは下降するという未来像だったのです。
世界が動き出したのは、IPCCの誕生から
「成長の限界」は、地球環境問題の重要性を人々に気づかせ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の設置につながりました(1988年、国連総会)。ようやく、地球環境問題の科学的把握と政策協力への道が開けたと言えます。
2007年に発表されたIPCCの第4次報告では、「我々を取り巻く気候システムの温暖化は決定的に明確であり、90%を超える確率で人類の活動が直接的に関与している」とし、初めて、地球温暖化に対する人為的な影響に言及したのです。
今、やらなければ、手遅れに
今、各国のみならず、私たち一人ひとりが地球温暖化問題にどう取り組むか、が問われています。「IPCCの報告には不確実性がある」とし、無視する態度もある一方、石油や石炭などの化石燃料からの脱却をめざし、EU(欧州連合)ではエネルギーシステムの見直しが進んでいます。また、日本のように省エネ化、効率化に力を入れている国もあります。太陽光発電や風力発電など、温室効果ガスの排出を抑える「新エネルギー」の開発も、こうした取り組みの一端です。
IPCCは、「地球温暖化の動きを遅らせ、さらには逆転させることは、我々の世代のみが可能である」と明言しています。今、やらなければ手遅れになるのです。
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