風車って、意外にハイテク!
「風車」は地球温暖化に対応する新エネルギー
地球温暖化の進行を緩和するために、石油に代わる新エネルギーの一つとして、風力発電が注目されています。風力発電は、風の力を使って風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて電気を起こす仕組みです。風を受けた風車が生み出すエネルギーは、風速の3乗に比例し、翼が回転したときにできる円の直径の2乗に比例します。つまり、風車による風力発電のエネルギー量は、風が強くなればなるほど、翼が大型になればなるほど、大きくなるのです。
また、理論上の最高効率を計算してみると、風車は最大で約60%の風エネルギーを吸収し、残りの40%は自然に返していることもわかっています。とても効率がよく、また環境にもやさしい発電装置ということができるでしょう。
意外にハイテクな今日の風車
風力発電における風車の仕組みは、このようにシンプルなものですが、現在稼働している風車は、意外にハイテクです。例えば、翼は、ただ風を受けるだけでなく、風速に合わせて角度を変えること(ピッチ制御)ができます。また、風車を支えているタワーは、風が来る方向に合わせて首を振り、より効率的に風を受けること(ヨー制御)ができるように動いています。風速や風向きを感知するセンサーが取り付けてあるからです。
また、翼に使用する素材も、強くて軽いものが開発され、風をより効率的に受けることができるようになっています。大型化も進んでいて、翼が描く円のなかに、航空機がすっぽりと入ってしまうような大きさの風車がつくられています。
「理工学の総合力」が問われる風車の魅力
こうしてみると、風車の開発には「理工学の総合力」が問われているといえます。機械工学、電気工学、制御工学はもちろんですが、土木工学、気象学、そして社会学も関係してきます。また、今後は陸上ばかりでなく、洋上への進出もめざされており、巨大な風車を洋上に浮かべて稼働させる「浮体式風車」の研究・開発も進んでいます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。