
生命のしくみに学び、新たな材料を生み出す
京都大学 iCeMS(アイセムス)は、細胞生物学と材料化学の有機的な融合によって、生命と物質の境界にある細胞内自己集合体の理解とそれらに触発された機能性自己集合材料によるイノベーション(応用)の両方に挑戦しています。生命の謎を解き明かすとともに、自然界で見られる巧妙なメカニズムに学び、それらを手がかりに新しい構造や機能を持つ材料を創り出すことに挑戦しているのです。
とりわけ注目しているのが、物質が自ら秩序を生み出す「自己集合」のプロセスです。この現象を理解し、応用することで、環境、エネルギー、医療などの世界が直面する課題の解決につながる機能を持つ革新的な材料の開発をめざしています。
北川進 特別教授がノーベル化学賞を受賞!
こうした研究を象徴する成果の一つが、多孔性材料の一種「MOF(Metal-Organic Framework:多孔性金属錯体)」です。金属と有機分子を組み合わせ、分子の設計図どおりにナノサイズの空間を構築できるMOFは、二酸化炭素の回収、エネルギー、医療、環境など、幅広い分野での応用が期待されています。このMOF研究を切り拓いてきたアイセムスの北川進 特別教授は、その独創的な研究成果が高く評価され、2025年ノーベル化学賞を受賞しました。それまで注目されていなかった「孔を利用する」という発想の転換により、材料科学の新たな地平を開いたこの業績は、基礎研究が人類社会の未来に大きく貢献しうることを世界に示しました。
分野を超えて知を結び、新しい科学を生み出す
アイセムスでは、このような革新的な科学を生み出すため、分野の枠を越え、多様な専門性をもった研究者が集まっています。生命の鍵となる仕組みに魅了された細胞生物学者と、これまでにない構造や機能を持つ化合物や材料を創り出す高度な技術を持つ材料科学者が、互いの発想に刺激を受けながら新たな研究の発展をめざしています。
物質が自己集合するように、多様な専門領域の知見と人材が集うことで、新しい科学が生まれる。アイセムスは、好奇心と対話を原動力に、科学の新しい地平線を切り拓き続けています。
拠点長から高校生に向けたメッセージ

研究の面白さは、「まだ誰も知らないこと」に出会えるところにあります。自然の中には、分子が自ら集まり、秩序や機能を生み出す不思議なしくみが隠れています。そのしくみを見つけ出し、理解し、応用することで、新しい材料や医療技術が生まれ、社会や未来につながっていきます。研究には正解のない問いが多く、試行錯誤の連続です。しかし、自分の「なぜ?」が形になった瞬間の喜びは、何ものにも代えがたいものです。ぜひ好奇心を大切に、自分なりの問いを持ち続けてください。






