講義No.15273 経営学・商学

買い物から考える「ブランド」の役割

買い物から考える「ブランド」の役割

商品を選ぶ基準

買い物をする時、似たような商品の中からどれを選ぶかを、どんな基準で決めるでしょうか。価格や使いやすさを重視することもあれば、ブランドで選ぶこともあるでしょう。
ブランドとは、商品やサービスを見分けるための名前やマーク、デザインなどのことです。企業名や店名のほか、「今治タオル」や「夕張メロン」といった地域名を冠したものも、品質やイメージを表すブランドです。加えて、特定保健用食品のマークのように、信頼性の目安となる表示も、広い意味でブランドと言えます。つまり、ブランドは単なる名前ではなく、買い物の意思決定に大きな影響を与える重要な手がかりなのです。

ブランドの3つの役割

ブランドには、大きく分けて3つの役割があります。1つ目は「識別機能」です。たくさんの商品が並ぶ中で、目当てのものを見つけやすくしたり、リピーターになってもらったりするための役割です。2つ目は「意味付与機能」で、実際にそのブランドの商品を使って「良かった」と感じる経験が積み重なることで、ブランドそのものに信頼や価値を感じるようになります。そして3つ目は「行動変化機能」です。中身が似た商品でも、どのブランドから出ているかによって、買いたい気持ちが変わることがあります。ブランドには、人の行動を変える力があるのです。

ブランドを読み解くと

こうした力を持つブランドについて、それがどのように受け取られ、どんな人がその商品を購入するのかを分析することで、「誰に、どんな商品を、どう届けるか」がより明確になります。
例えば、「小京都」と呼ばれる地域ブランドは全国にいくつかありますが、そのイメージは場所ごとに異なります。同じ小京都でも、観光客に響くポイントが異なるのであれば、プロモーション方法も地域に合わせて工夫する必要があるのです。そして、ブランドの伝え方と消費者の受け止めが合致すれば、消費者はより納得のいく選択ができるようになるはずです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

流通科学大学 商学部 マーケティング学科 講師 薮野 祥太 先生

流通科学大学商学部 マーケティング学科 講師薮野 祥太 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

マーケティング論、ブランド論

メッセージ

買い物は、生きていく中で誰もが繰り返す行動です。私たちは日々、無意識のうちにさまざまな基準で商品を選んでいます。最近買ったものを思い出してみてください。価格、使いやすさ、デザイン、ブランドなど、そこにはそれを選んだ理由が必ずあります。こうした身近な選択の背景を掘り下げていくことが、マーケティングやブランドの研究につながります。自分の行動や他人の選択に興味があるなら、きっと面白く感じられる分野だと思います。何げない気づきから、学びが始まるのです。

流通科学大学に関心を持ったあなたは

流通科学大学は、マーケティングと流通を科学的に学び、「良い出会いを実現する」ことを目指しています。マーケティングは顧客や取引先のニーズに応じた商品やサービスを提案する活動であり、流通はそれらを実際に届ける活動です。この2つが連携することで、企業は価値ある出会いを生み出せます。こうした知見は企業活動だけでなく個人の生活にも役立つものであり、学生には学びを自らの人生にも活かし、豊かな出会いを築いてほしいと願っています。