「未来の新製品コンセプト」をどうやって伝えるか

革新的! でもイメージしにくいという課題
新製品を作る際、完成品を世の中に出す前に他者の意見を聞き、「本当に必要とされるか」「どこを直したらいいか」をよく考えることが大切です。特に、まだこの世に存在しない革新的な新製品ほど、その製品評価は誰にとっても難しくなります。例えば「空飛ぶクルマ」は実現すれば便利と期待されている一方、「よくわからない」「日常的に使う場面を想像できない」という人もいます。こうした革新的な新製品開発の際に関係者へどう伝えれば有益な意見を得られるのかが、大きな課題です。
「未来の技術や生活」を伝える方法を考える
製品コンセプトの伝え方の研究において、空飛ぶクルマのコンセプトに関する複数の動画をそれぞれ約100人が視聴し、印象を比較する実験が行われました。安全性や技術の解説が中心の動画は「説得力がある」「現実的だ」と高評価でした。一方で、生活の中で空飛ぶクルマを使うといかに便利なのかを物語風に強調した動画は、「現実とのギャップ」の声が多くありました。つまり、まだ世の中にないものは、その製品を使用することによって得られる恩恵のみを伝える動画よりも、技術や導入プロセスの解説の方が、安心感や納得感を与えるという結果が示唆されています。
未来のコンセプトを実現するために
今あるものと大きく異なる新製品を社会に届けるには、実現性と意義を効果的に示す必要があります。ソニーのヘッドホンステレオは、日本を代表するイノベーションの1つとしてとても有名ですが、当時のオーディオ機器では普通であった録音機能を省いたことから、「売れるわけがない」と社内外で思われていました。しかし、「音楽を運ぶ」というコンセプトを実現したことで、結果、世界中で大ヒットしました。革新的な新製品コンセプトを伝達し、適切に評価することは難しいです。そのようなコンセプトを効果的に伝える文字情報や動画などの「媒体」、情報の詳細さ、登場人物の有無などの要素を実証する研究が続いています。
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