講義No.15837 法学

その約束は大丈夫?

その約束は大丈夫?

債権者・債務者

「債権」は特定の相手に対して、債務を請求できる権利です。「債務」とは金銭の支払いや物の引き渡し、サービスの提供など契約に基づいた特定の行為を行う法的な義務のことです。債務を負う人を「債務者」、債務の履行(りこう)を請求する権利を持つ人を「債権者」と呼びます。例えば、自分が友だちにお金を貸した場合、自分が債権者、友だちが債務者となり、自分には「返して」と請求する権利があります。

相手の人数が増えるほど複雑化

債務者と債権者が1対1の場合は話が簡単なのですが、一つの契約に債権者や債務者が何人もいたりすると、ややこしくなってきます。これを「多数当事者の債権債務関係」と呼びます。
例として、Aさんが、BさんとCさんとDさんに対して3万円の債務を負っていたとします。この場合3人にはAさんに対する債権がありますが、誰がどれだけ請求できるでしょうか。さらに、Aさんに2万円までしか返済能力がない場合はどうなるのでしょうか。複数いる債権者の中で、契約ルールが決まっていればそれに従って分配しますが、ない場合はもめることになります。また1円単位で割り切れる金銭であれば分配しやすいですが、分割できない物やサービスなどの場合はより複雑です。こうした多数当事者の債権問題が起こらないようにするためには、最初に当事者同士できちんとルールや代表者を決めておくことが重要です。

法律上の扱いが不明確な権利

さらに複雑なのは、法律上の扱いがまだ明確でない権利がからむ場合です。例えば、契約の取消権、追認権などについては、多数当事者関係でどう扱われるのか、検討が十分ではありません。日本の法律ではこのような権利に関する細かな条文がないため、過去の判例頼みとなっています。より抽象的な権利については、どう不公平を減らすか、誰がどこまで責任を負うことが全体にとって公平なのかというルールのあり方を研究する必要があるのです。

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先生情報 / 大学情報

流通経済大学 法学部  准教授 阿部 優子 先生

流通経済大学 法学部 准教授 阿部 優子 先生

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民法(債権法)

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メッセージ

人と何かを一緒にやるときにルールを考えられる人は強いです。学校、会社、家族といった小さなコミュニティでも、ルールを決めて生きていかなければなりません。自分のいるコミュニティの人たちみんながどうすれば公平に幸せになり、誠実な人が損をしないかを考えられる人は、どこの社会でも重宝されます。法律とはこの国の公式ルールであり、この公式ルールをもとに良いルールと悪いルールを考えるのが法学です。私たちが生きる社会に必要なルールについて、興味を持ったらぜひ法学を学んでみてください。

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