
「生物資源」の有効活用で持続可能な社会を構築
私たちの暮らしは生物多様性がもたらす自然の恵み、つまり「生態系サービス」によって支えられています。農作物の生産を支える水や空気や土、新たな医薬品のもととなる生物由来の物質、災害を防ぐ森林など、生態系サービスは「生物・生命」のはたらきが基盤です。生物資源科学部では「生物・生命」をヒトの暮らしを支える「資源」ととらえ、その保全や利活用に関わる教育・研究を行っています。内容は生命現象の基本理解から、新たな医薬、農薬、機能性食品の開発に関わるもの、生物の生息する環境の保全・管理をめざすもの、さらには農村の経済・経営に関するものまでさまざまです。本学部は「生命科学科」「農林生産学科」「環境共生科学科」の3学科でこれらの領域をカバーしています。
豊かな自然を生かした教育・研究で地域や国際社会で活躍できる人材を育成
豊かな文化と歴史が息づく松江市。生物資源科学部はその中心からほど近い静かな環境にあります。西の宍道湖と東の中海、2つの汽水湖の間に位置する松江市は、研究の拠点としても絶好の地です。たとえば宍道湖に注ぐ斐伊川を遡れば、自然と人の暮らしが調和した里地・里山、そして中国山地に至ります。一方で、中海をくだれば日本海に至り、その沖合には世界ジオパークの島として知られる隠岐諸島が浮かびます。この多様で豊かな自然環境が、生物資源科学部の研究・教育フィールドとなります。
「未利用資源」開発研究の最前線
本学部はこのような豊かなフィールドから得られる「未利用資源」の活用に取り組んでいます。宍道湖畔に自生する在来ハマダイコンを遺伝資源として活用し、新品種「出雲おろち大根・スサノオ」を育成して地域を代表する辛味大根へと発展させるなど、地域に根ざした野菜・園芸植物の新品種開発や、未利用野草・薬用植物の保全に取り組んでいます。また、植物の病気を防いだり、生育を促進する微生物の探索、微細藻類ユーグレナを利用したバイオ燃料の開発研究、さらにはミールワームを活用した家畜・ペット・水産用飼料の開発など、多様な未利用資源の活用研究を進めています。このほか地域で得た酵母や乳酸菌などの微生物を地域資源ととらえ、食品開発へ活用する試みも行われています。たとえば本学部オリジナルのサクラ品種から発見された酵母を活用し、サツマイモを原料とした「サツマイモビール」の開発、商品化を進めています。しかも原料のサツマイモの栽培にあたっては、学生食堂からの食品廃棄物をもとに開発された島根大学オリジナル肥料「キャンパスト」を利用するなど、SDGsにも貢献しています。このように地域の資源を活用し、持続可能な社会を構築することが、生物資源科学部の大切なミッションのひとつなのです。
