
新しい治療法の開発へ
WPI-Bio2Qでは、これまで明らかにされてこなかった恒常的な臓器円環メカニズムを発見・検証するという、新しいライフサイエンスの方法論の確立をめざしています。ヒトの体が外部の変化や刺激をどのように理解し、処理・連動させ、一定範囲の健康を維持しているのかを「多臓器」と「マイクロバイオーム(微生物叢)」の相互作用から解明するため、独自の研究技術を開発・発展させています。また、量子コンピューティングのヒト生物学への応用方法を開発し、健康長寿社会の実現につながる新しい疾患の予防・治療法の研究・開発を行っています。
■今後期待される融合研究
WPI-Bio2Qは、複数のライフサイエンス分野、バイオインフォマティクス、量子コンピューティングの世界トップレベルの専門家を結集し、Bio-1(ヒト多臓器多次元データ解析コア)、Bio-2(多臓器円環機構解析コア)、Q(量子コンピューティングコア)の3つの研究コアユニットで機能的に構成されています。それぞれが有する最先端技術を統合して、コアを越えた融合研究を推進しています。
生体の恒常性は中枢神経系・免疫系・代謝系・消化器系といった多臓器の連関によって精妙に維持されており、その破綻がさまざまな疾患を引き起こすことが明らかになっています。近年、個体のあらゆる外的表面に存在するマイクロバイオームがヒト恒常性に大きな影響を与えていることもわかってきました。しかし、多臓器の超マルチオミックスデータに加え、マイクロバイオーム由来の15万個以上の代謝産物が相互に連動して働くメカニズムを解明することは技術的に困難でした。一方で、量子コンピュータはそのポテンシャルを最大限に活用する方法の探索が続いています。
そこでWPI-Bio2Qでは、マイクロバイオームを含む多臓器円環に対して量子コンピュータを最大限に活用することで、多臓器円環と生体恒常性の間にあるブラックボックスを解き明かし、科学的因果関係を確立することをめざしています。
3つの大学院研究科が連携して活動
医学・薬学・理工学の3つの大学院研究科による「横断連携大学院英語プログラム(STaMP)」を2023年度から開始しました。各研究科に属する教員・研究者・学生が直接交流できる「共鳴の場」となっていて、大学院生は複数のメンターと協力して研究科の枠を超えた指導を受けることができます。
さらに、大学院生だけではなく、学部生がWPI-Bio2Qで研究活動に取り組むプログラムもでき、研究者をめざす若い人たちを応援しています。WPI-Bio2Qでは英語でのプログラム実施により、国際的に通用する研究能力やコミュニケーション能力が身につく環境があり、大きな魅力となっています。
拠点長から高校生に向けたメッセージ

WPI-Bio2Qは、日本で初めて設立された腸内細菌(マイクロバイオーム)の国際研究拠点です。腸内細菌は約1,000種類の細菌からなる複雑な生命システムで、私たちの体を支える「もう一つの臓器」ともいえる存在です。この複雑な仕組みを分子レベルで理解するため、最先端の科学技術を開発・活用しています。人工知能(AI)だけでなく、量子コンピュータなど次世代技術にも挑戦しています。治療が難しい病気に対する新しい治療法を生み出したい。世界に挑戦したい皆さんを、心から歓迎します。






