生物×工学=人類の進化 遺伝子工学で未来をつくる

生物×工学=人類の進化 遺伝子工学で未来をつくる

遺伝子の機能が生み出す生命の仕組み

私たちの細胞には、遺伝情報が書き込まれたDNAが存在しています。この情報をもとにタンパク質が作られ、それらが働くことで生命活動が維持されています。しかし、これまですべての遺伝子の機能が解明されてきたわけではありません。遺伝子の働きを突き止めることを目的に、生物に特定の刺激を与えた際に、どの遺伝子がどう働くかを探る研究が進められています。

線虫を使って遺伝子の機能を探る

ヒトを含めた生物はさまざまな刺激に対して応答し、その際に特定の遺伝子が働く場合があります。こうした遺伝子の働きを明らかにするために、モデル生物を用いた研究が行われています。
そのひとつが「線虫」を使った実験です。線虫を飼育する寒天培地に特定の試薬を加えると、線虫にとってはそれが刺激となる場合があります。また加える試薬によっては、ある濃度条件下で線虫の寿命が延びる傾向が見られます。この現象に関わる遺伝子を特定するために、まず刺激によって発現が変化する遺伝子を探索します。そして、その候補の中からどの遺伝子が寿命に影響を与えるかを、ひとつずつ検証していくのです。現在は、関係する遺伝子の特定を進めている段階ですが、この研究がさらに進めば、寿命に対する科学的な理解や貢献につながる可能性があります。

遺伝子工学が拓く未来

遺伝子の機能が明らかになることで、それを応用した技術が発展していきます。例えば、遺伝子工学は食品や医薬品の開発に活用されており、その他の分野にもさまざまな形で応用されています。遺伝子の配列の変化は生物の進化に深く関わっており、その意味で遺伝子工学は「人工的に進化を促す技術」とも言えます。その技術がもたらす力は非常に大きく、社会に与える影響は計り知れません。
研究が進めば、病気の予防や治療法の開発、新しい食糧生産技術の確立など、私たちの生活を大きく変える可能性があります。遺伝子の研究は、今後も発展し、未来の社会に貢献していくことが期待される分野です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 工学部 生物工学科 教授 笹川 昇 先生

東海大学工学部 生物工学科 教授笹川 昇 先生

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分子生物学、生化学、遺伝子工学

メッセージ

高校時代の勉強は、受験を意識すると文系・理系に分かれ、自分に関係のある科目だけを重視しがちです。私はその考え方はとてももったいないと思います。数学や理科、歴史や文学など、高校で学ぶすべての科目は、本来はどれも大切なものです。一見関係なさそうな知識が、将来思わぬ形で役立つこともあります。だからこそ、ひとつひとつの授業を大切にして、広い視野を持って学ぶことが大事です。今のうちに多くのことに関心を持ち、知識を吸収することで、自分の可能性を大きく広げることができるでしょう。

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