男性の平均寿命が短いのは、Y染色体のせい?

Y染色体を失うとは
女性の方が男性より長生きすることは、よく知られています。日本でも、平均寿命にはおよそ6年の差があります。
これまでは、男性ホルモンや女性ホルモンの違い、喫煙や飲酒などの生活習慣の違いが主な理由として考えられてきました。しかし最近、男性だけが持つ「Y染色体」も、この男女差に関係しているかもしれないことがわかってきました。
私たちの体は、たくさんの細胞でできています。これらの細胞は、分裂を繰り返しながら新しく作られています。ところが、年をとるにつれて、細胞が分裂する過程で、Y染色体を失ってしまう細胞が現れることがあります。これを「Y染色体喪失」といい、英語ではloss of Y chromosome、略してLOYと呼びます。
Y染色体がなくなると
例えば、血液の細胞からY染色体が失われると、白血球の一種であるマクロファージの働きが変わることがわかってきました。Y染色体を失ったマクロファージでは、本来の働きが乱れ、臓器を硬くする「線維化」が進みやすくなります。線維化は、もともとは傷を治すために必要な反応です。しかし、この反応が強くなりすぎると、臓器はしなやかさを失ってしまいます。心臓で線維化が進むと、心筋が硬くなり、十分に広がったり縮んだりしにくくなります。
また、Y染色体喪失は、がんやアルツハイマー病などの認知症との関連も指摘されています。
一人一人のリスクがわかる研究に
とはいえ、Y染色体の喪失と病気の関係については、まだわかっていないことがたくさんあります。なぜY染色体を失った細胞が増えるのか、どの病気にどの程度関わるのか、そして本当に治療の標的にできるのかは、これから明らかにしていく必要があります。
もしかすると、Y染色体の研究は、男性がなぜ女性より短命なのかという長年の疑問に答える手がかりになるかもしれません。そしていつか、男女の寿命の差を小さくする医療につながるかもしれないのです。
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